Facebookは、私たちのコミュニケーションのしかたを変えた。今回は、23億8000万人いる同社のユーザーに、日常の買い物に仮想通貨を使うということへの考え方を変えさせようとしているようだ。
Facebookとそのパートナー各社は米国時間6月18日、「Libra」と呼ばれるデジタルコインを発表し、数カ月前から少しずつ情報が漏れ伝わっていたプロジェクトの詳細を正式に明かした。2020年前半に提供が開始される予定のLibraは、運営組織によって管理され、価格変動率の低い金融資産によって価値が担保される。
Facebookは何年も前から、同プラットフォーム上で送金したり、小売業者から商品を購入したり、自分の中古の衣類や家具を販売したりできる機能をユーザーに提供してきた。Libraの発表によって、Facebookはそうしたすべての活動や、新たな取引が行われるように働きかけている。
Libraは「大きな」成功を収める可能性を秘めている、と語るのは、調査会社MoffettNathanson ResearchのアナリストのLisa Ellis氏だ。「決済は商取引の基礎をなすものであり、Libraはそれを実現するための重要な一歩となるだろう」(Ellis氏)
Facebookの仮想通貨の野望は、ユーザーの日常生活の一部となることを目指す同社の取り組みの最新の事例だ。Facebookとそのパートナー企業が、うまく人々にLibraを使ってもらうようにすることができれば、同社は新しいユーザーを引き寄せて、オンラインでより長い時間を過ごさせ、広告以外の売り上げを増やすことができるだろう。2019年の最初の3カ月間に、広告売り上げが同社の150億ドルの売上高に占めた割合は99%だった。
今回の動きは、Facebookがプライベートスペースへの取り組みを強化しているタイミングで発表された。同社は、ユーザーが「WhatsApp」「Messenger」、Instagramのアプリを切り替えることなくメッセージを送信できるようにすることを計画している。FacebookがLibraの保管用に開発したデジタルウォレットである「Calibra」は、まずMessengerとWhatsAppに組み込まれる予定だ。Instagramには当初は組み込まれない。
このように展望は明るいとはいえ、Facebookはプライバシーをめぐる一連の不祥事で悪化したイメージを払拭する必要がある。同社は、このソーシャルネットワークがターゲット広告のためにユーザーから大量の個人データを収集していることについて、政治家たちに警戒心を抱かせてきた。Facebookは、Calibraのデータとソーシャルデータを別々に扱うと述べている。
Facebookがどれだけ早くLibraユーザーを獲得できるかは、現時点ではまだ見えてこない。日々の買い物に既存の仮想通貨を使った決済方法を普及させようと、さまざまな取り組みが行われてきたが、そうした取引は一般的と言うには程遠い。多くの仮想通貨、特にビットコインは、価値が乱高下し、ややこしい規制環境の中に存在している。これらの仮想通貨は投機や犯罪行為にも使用されてきた。
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