ある10代向けファッション誌で、音楽を聴くために使うアプリを聞かれ、「Music FMはマスト」と回答している記事を見かけた。高校生たちに話を聞くと、同様の回答が返ってくることが多い。高校生たちの音楽事情と問題点について見ていきたい。
CNET Japanとテスティーの 「音楽」に関する調査(2018年1月)を見ると、音楽を聴く頻度を「毎日」と答えた10代男女は50〜60%に上った。一方、音楽視聴の際に利用するサービスは、「無料サービス」という回答が10代女性は91.7%、10代男性は80.4%と極めて高く、楽曲課金や月額課金サービスの利用率は1割前後と低い。10代は、普段から音楽を無料で楽しんでいるのだ。
利用アプリは、YouTubeが6割以上、そして「Music Box」が10代女性で42.1%、10代男性で35.2%となっていた。Music boxとは現在の「Music FM」であり、両者は同じものと考えていいようだ。
Music FMは、最新の楽曲でも無料で聴き放題という海外製のアプリだ。無料で聴けるだけでなくダウンロードまでできるため、10〜20代の若い子たちに高い人気を誇っている。現状、Music FMとApp Storeで検索すると、複数のアプリが見つかる状態となっている。
実は、このアプリは著作権侵害している違法アプリと言われている。「音楽界の漫画村」と言われることもあるようだ。何度も削除されては復活しており、類似アプリも登場しているので、このような状態となっているのだ。検索すると、「Music FMの本物はどれか」という冗談のような質問や記事などを見ることができる。ウェブ版もありサイトは日本語化されているが、若干不自然な日本語が混じっている。
Twitterで検索すると、「Music FMから『楽曲名』をシェアしました。タップして聴きましょう。URL」という、10代の子たちのツイートを多数見かける。自分の音楽の趣味を公開して、同じ趣味でつながりたいという気持ちの現われだろう。
Music FM人気の理由は、やはりいわゆるギガ消費と関係があるようだ。先程の調査結果のように、YouTubeなどで動画とともに音楽を楽しむこともあるが、音楽を聴いている間は他のアプリなどは使えないし、Wi-Fiが使えるところでなければ通信量がかさんでしまう。一方このアプリなら、ダウンロードして聴くことができ、バックグラウンド再生もできるというわけだ。
「Music FMは削除されても本物を探して入れてる。本物のが使いやすいと思う」と自慢している女子高生がいたが、同じ違法アプリでも本物の方がいいという感覚があるようだ。ただし、多くの子達が「違法」という認識はあるようで、「やっぱりやばい?」と聞いていた。本物にこだわっている子にアプリが削除されたらどうするか聞いてみた。「アプリがなくなったら?他のアプリに変えるかな。似たアプリを探す」。
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