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全自動ドローンの雄、センシンロボティクスが目指す“DaaS社会”とは - (page 2)

西中悠基 (編集部)2019年06月21日 15時55分
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人材不足の日本が最大のマーケット

ーー災害対策、インフラ点検、警備監視の3本柱の中で、特に注目されている業界はありますか。

 ほぼ全ての分野から引き合いが来ているのですが、具体的に名前が出ているところでは、インフラ分野では建設企業のフジタがあります。

 フジタへの納入事例では、大きな建築現場を定期的に巡回し、状況の進捗を把握する、というものを実験的に進めています。このソリューションの反響が大きく、フジタ社内だけでなく、建設業界内でも注目されています。まだまだ課題はありますが、それをクリアすればさらに業界全体に広まると考えています。

 この課題の解決には、ノウハウの蓄積が必要です。一般用途に使えそうなものは誰でも作れますが、業務に組み込めるものを作らなければドローンは広まりません。ですが、業務の現場は想定と異なる場面が多々あり、そこに順応しなければいけません。ドローンソリューションの普及にはそれを現場でやらなければいけませんが、手掛けているのは私たちだけです。そして、そのノウハウが蓄積されれば現場で使えるソリューションになり、さらに横展開もできます。そこで模倣品が出てきても、ノウハウがある私たちには勝てません。

 ドローンを飛ばします、という企業は多くありますが、全自動化の段階まで進めている企業はなかなかいません。この点、私たちは圧倒的に先を進んでいます。各業界のトップ企業とも連携し始めていますので、今後は非常にいいポジションを確保できるでしょう。

ーー注力分野以外の業界に参入する予定はありますか。

 現時点での私たちのビジネスの中心は、ドローンに限らずインフラ点検、警備監視、災害対策の3点となっています。それ以外のゾーンでも小規模に展開する可能性はありますが、現時点で注力分野とすることは予定していません。

 たとえば、ドローンによる物流は面白い分野ですが、私はビジネス化するにはハードルが高いと考えています。社会実装を考えた上で興味のある分野ではありますが、日本でマーケットとして成り立つかは未知数です。

 一方で、メンテナンスや災害対策は、専門の知識を持った人が対応せざるを得ず、しかも危険を伴う仕事です。熟練者は減少し続けているので、それらの分野に注力していかなければ、社会的に厳しい場面が訪れると考えています。私たちは、警備監視やインフラ点検など、地味ではありますが、実装性が高く市場規模も大きい分野に注力し、社会的に貢献していきたいと考えています。

 日本では、これから既存インフラの老朽化が進行します。日本のインフラは元々の出来は良いですが、50年も経過すれば対策無しとはいきません。また、昨今は災害も頻発していて、少なくとも減ることはないでしょう。老朽化のみならず、災害への対策も進める必要があります。さらに、インフラの点検や災害対策に携わる熟練者が減少している課題にも対応しなければなりません。

ーー海外に進出する予定はあるのでしょうか。

 海外からも私たちのソリューションを使いたいという引き合いがありますので、いずれ手掛けることになります。ただ、まずは日本で体制を固めてからです。海外へ進出するなら、それなりの体制をつくらなければならないので、順を追って展開していきます。

 現状では、日本でも相当なマーケットがあります。特に、私たちが注力している警備監視、インフラ、災害対策は日本が最も需要がある国です。一方、たとえば東南アジアでも、これらのニーズ自体はあります。しかし、東南アジアは日本と異なり人材不足の問題が起きていません。そのような意味では、日本の方が課題が大きく、必要性も高いと判断しています。

安全のためにも自動化を

ーードローンの普及については現行の法規制が課題に挙げられますが、それについてはどうお考えでしょうか。

 政府は、有人地帯における目視外飛行を2022年に実現する目標を立てています。その頃には法規制もある程度緩和されているでしょう。個別許可を得て視認できる範囲でドローンを飛ばすことは現時点でもできますが、それ以上の飛行を可能とする法規制の問題については、まもなく解決されると思います。

 あとは人間の感情の問題です。私たちは事故をいかに起こさないようにするかに細心の注意を払っていますが、軽い気持ちで参入した会社が事故を起こすことはあり得ます。ドローンを飛ばすなら、業界全体が事故を防ぐ努力をするべきです。

 私たちがバリューとして掲げているものに、セーフティーファーストがあります。安全を後回しにする傾向があるベンチャーとしては珍しいと思いますが、この業界ではセーフティーを最初に掲げなければ、業界全体が潰れる可能性があります。

 今は人が少ない場所に限定してドローンを飛ばしていますが、都市部では事故の可能性が高まります。しかし、飛ぶものは常に落ちる危険性と隣り合わせです。その危険性を前提に何ができるのかを議論することが大事です。

 ドローンを手動で飛ばす場合も、事故のリスクが高くなります。操縦者は慌てたり、問題ないと過信して限界を攻めたり、あるいは状況がふと把握できなくなることが可能性としてあり得ます。安全性に配慮するならば、システムを構成し、完全に自動化した形のソリューションが必要になると考えています。

 もちろん、全てのソリューションを完全に自動化する必要があるとは考えていません。先ほど話した通り、手動と自動には向き不向きがあります。FLIGHT COREを組み込んで、離着陸のみ手動で飛ばすものや、DRONE HUBのように完全に自動化したものの組み合わせで展開していきます。

 たとえば、ドローンを完全に手動で飛ばすソリューションは、必要に応じて提供します。ただ、これは過渡期として手掛けているので、将来的にはなくなる方向です。点検業務など、現時点では手動飛行でなければ難しい場所のニーズもありますし、そのニーズに応えるためのパイロットも私たちは持っています。この手動による飛行でナレッジを溜め、将来的には自動化に転換する流れとなります。

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