メルカリUSのCEOであるジョン・ラーゲリン氏が来日し、これまであまり語られてこなかったメルカリの米国事業の進捗について説明した。同氏は、グーグルに7年、Facebookに3年勤めた後、2017年6月にメルカリに参画した人物だ。
2014年に米国市場に進出したメルカリだが、直近の米国版メルカリアプリのダウンロード数は約4500万で、App Storeのレーティングも参入当初の3.4から4.8まで向上しているという。1日数十万件の出品がある日本には劣るが、米国でも1日に15万もの商品が出品されているという。
米国事業は営業赤字が続いているが、2019年6月期の第3四半期累計(2018年7月~2019年3月)の流通総額(GMV)は1億300万ドル(約110億円)で、前年比で70%成長していると強調。今後は「単月で1億ドル」(同氏)を目標に掲げる。
成長の要因は大きく2つあるとラーゲリン氏は話す。1つ目は「プロダクト改善による着実な成長」だ。日本と比べて米国には中古品を売る人が少ないことから、米国版では買うことよりも“売る”ことにフォーカスして改善してきたと説明。具体的には、ホームタブに「Sell」(売る)という項目を追加したり、10分以内に売れた商品を並べるなど、日本版とは異なるUI/UXによって、出品者の増加に努めてきたとのこと。
そして、2つ目は「ポテンシャルを有する市場環境」。同社によれば、米国の家庭に眠る不用品は53億品、その総額は930億ドルにおよぶにも関わらず、5人に1人はそれを売らずに収納スペースをレンタルするなどして保有したままにしているという。しかし、最近ではNetflixの番組がきっかけで「KonMari」が社会現象になり、不用品を“片付ける”行為が注目されているほか、Z世代やミレニアル世代を中心に中古品に抵抗のない米国人も増加傾向にあると説明。この流れが同国でのフリマサービスの成長を後押ししていると話す。
ユーザー層としては、当初は単価の低い若年層が中心だったが、現在は30代のファミリー層の利用者が増えており、平均単価も上がってきているとのこと。iPhoneなどの電子機器から、スターウォーズのグッズといったレアものまで幅広く取引されているそうだ。アクティブ率は非開示だが、「2〜3回使ってもらえれば一気に継続率は上がる」(ラーゲリン氏)という。
これらの実績から、「プロダクトマーケットフィットがあることは証明できた」と一定の手応えを感じているラーゲリン氏だが、さらなる成長の鍵を握るのが、米国内における認知拡大だと話す。米国でフリマサービスといえば、売り手と買い手が直接会って商品を手渡しするスタイルが一般的で、メルカリのように商品を配送するサービスの認知度は高くないためだ。
これまで米国でのテレビCMには慎重だったメルカリだが、実際に放映してみると、競合他社と比較しても高いアテンションスコアを獲得できているとのこと。また、今後は口コミでの訴求もサービスの普及には欠かせないことから、いかに現地のコミュニティなどに入り込めるかが重要になると考えを示した。
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