Googleは、米国時間6月2日に発生した大規模障害についての詳しい情報を一部明らかにした。この障害では、米国東部などで「Google Cloud」を利用する大手IT企業が提供するサービスや、「YouTube」「Gmail」「Google検索」「G Suite」「Google Drive」「Google Docs」などの同社が提供するサービスが影響を受けた。
Googleのエンジニアリング担当バイスプレジデントBenjamin Treynor Sloss氏はブログ記事を公開し、同日に発生した障害の根本的な原因は、特定のリージョンの小規模なサーバーグループに適用するはずだった設定の変更が、誤っていくつかの隣接するリージョンの多数のサーバーにも適用されてしまったことだったと説明した。
この誤りによって、これらのリージョンでは、本来利用できるネットワーク容量の半分以上を使用しない状態になった。
影響はYouTubeなどの広帯域を必要とするプラットフォームでは大きかったが、Google検索などの帯域をそれほど必要としないサービスでは、遅延の増加は小さかった。
「全体としては、YouTubeは1時間で視聴が2.5%減少し、Google Cloud Storageサービスではトラフィック量が30%減少した」とSloss氏は述べている。
「Gmailのアクティブユーザーでアカウントに問題が発生したのは約1%だった。これはユーザーの割合としては小さな数字だが、電子メールの送受信ができなかったユーザーの数は数百万人に及んだことになる」
Google Cloudのステータスダッシュボードによれば、Google Cloudのネットワークでは米国の東部で輻輳が発生し、Google Cloud、G Suite、YouTubeが影響を受けた。障害は約4時間にわたって続き、問題は太平洋標準時午後4時に解決した。
Sloss氏の説明によれば、ネットワーク容量が制限されたリージョンでは、利用できる容量でインバウンドとアウトバウンドのトラフィックを可能な限り処理しようとして、深刻な渋滞が発生したという。
「ネットワークの輻輳を受けて、ネットワークシステムはトラフィックの負荷に正しく対応し、サイズがより大きく、遅延の影響を受けにくいトラフィックはドロップされる一方で、より小さく遅延の影響を受けやすいトラフィックは優先的に処理された。これは、最悪の交通渋滞が起きている状態でも、緊急性が高い小包だけは自転車便で運ぶことができたようなものだ」と同氏は述べている。
また、Googleのエンジニアは問題の発生を「数秒以内」に検知したが、問題の修正には、同社が目標としていた数分間よりも「はるかに長時間」を要した。その原因の一部は、ネットワークの輻輳によって、設定を正しいものに復旧させるためのエンジニアの操作が妨げられたことにあった。
またHackerNewsの記事によると、Googleのある従業員が、同社のエンジニアが障害に関してコミュニケーションを取るために使用していた社内ツールにも、発生した障害で問題が生じていたと述べている。
今回のSloss氏の説明は、同社が顧客に提供すると約束していた最終的な事後分析レポートではない。Googleは今も、ネットワーク容量の喪失と復旧の遅れに影響を及ぼしたすべての要因を明らかにするために、調査を続けているという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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