これは、地球外知的生命体の軍隊が地球侵略に向かっている映像ではない。SpaceXの人工衛星「Starlink」だ。Starlinkは、地球規模の通信ネットワークサービスを提供する目的で設計された。
衛星の最初の一群が5月23日、フロリダ州ケープカナベラルから発射されたロケット「Falcon 9」で軌道に送り届けられた。各衛星は太陽光を利用するための太陽電池パネルを1枚ずつ搭載しており、これらが太陽光を反射させるため、地球からも時折見ることができる。オランダ在住で人工衛星を観察しているMarco Langbroek氏は5月25日、輝く衛星の一群が上空を高速移動している間、その行軍の様子を撮影し、素晴らしい動画にしてVimeoに投稿した。
やがて衛星はばらばらに離れ、それぞれの軌道に向かう。これで衛星インターネットが地球の隅々まで網羅できるようになるのだ。
だが、夜空で繰り広げられたこのただならぬ光景がSNSで急速に拡散するにつれ、この衛星システムが天文学に引き起こす可能性のある問題について指摘する天文学者が出てきた。現在は軌道に乗る衛星はわずか60基だが、その数は最終的には1万2000基になり、一大衛星コンステレーションが地球を取り囲む。実際に一晩で、われわれの空の光景は変わってしまった。
オーストラリアのフリンダース大学の宇宙考古学者、Alice Gorman氏は「われわれは、宇宙開発の進歩はゆっくりしたものであることに慣れてきたが、突然、加速して高速になった。Starlinkは、その強い可視性により、幾つかの大きな疑問を投げ掛けた。誰が、どのような目的のために地球の軌道を使う権利を得るのか?」と語った。
確かに、Starlinkによって地球を周回する衛星の数は3倍になるだろう。数千基の衛星が地球の軌道に送り込まれるとしたら、宇宙の見え方は変わる。やがては地上から宇宙を調査することができなくなるのだろうか?
この疑問に対する簡単な答えは、見え方が永遠に変わるわけではない、というものだ。SpaceXは、Starlinkの衛星を約5年のサービス提供後に地球に落ちてくるよう設計した。
Gorman氏は「衛星はミッションを追えると再突入軌道に移動し、大気圏で燃え尽きることで宇宙ゴミにならずに消えるように設計されている」と語った。
だが、長い答えは、見え方が変わる可能性がある、というものだ。天文学者らは既に、地上望遠鏡を星に向けるたびに、地球上空を周回している宇宙ロボットや衛星の問題と取り組んでいる、そうした物体の明るく、反射性のある表面は、天体観測の妨げになっている。
衛星が増えるということは、視界が混み合うということだ。Starlinkはかつてない数の衛星を飛ばす計画だ。
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