ドワンゴは5月28日、同社が運営する動画サービス「niconico」内で展開する「ニコニコチャンネル」の月額会員数が100万人に達したと発表した。ドワンゴ代表取締役社長の夏野剛氏は、同日の記者会見で「ニコニコは落ち目とかオワコンとか言われているが、ファンコミュニティを中心としたチャンネルは伸びている。niconico自体の課金ユーザーは減っているが、総アクセス数やユニークユーザー数は下がっていない。逆にチャンネルでの課金ユーザー数が増えている」と勢いをアピールした。
ニコニコチャンネルは、企業・団体・一般ユーザーが動画や生放送、記事コンテンツを配信できるファンコミュニティプラットフォーム。誰でもチャンネルを立ち上げる事ができ、有料チャンネルを運営して収益を得ることもできる。「コンテンツ発信力のある人にアプローチして自由に運営してもらう」(夏野氏)とのコンセプトで2008年3月にサービスを開始、スポーツ、言論、アーチスト、声優、著名人、ゲーム実況などのさまざまなジャンルのコンテンツが展開され、現在1470種類の有料チャンネルがサブスクリプションモデルで運営されている。
従来の動画サービスの有料会員が減少する一方で、ニコニコチャンネルの伸長によって2018年度は年間ユーザー課金額が55億円を超え、月額会員数が30万人増加、ユーザー数・ユーザー課金額がともに過去最高の伸びとなる前年比5倍を記録したとしている。その結果、ニコニコチャンネル累計売上上位100チャンネルの運営者は、5年で平均1億円、1年平均で2000万円の収益を上げ、トップ5チャンネルに至っては、5年で平均4億円の収益を上げているという。
ニコニコチャンネルでは、Webサイト作成、動画配信、生放送配信、メールマガジン、イベント運営、オリジナルグッズの作成といった複数の機能および会員管理・課金管理機能を備えており、運営者は1つのプラットフォームでファンに多様なサービスを提供できる。この運営者向けの充実したツールの提供をサービスの強みとしているが、さらに機能追加を進めていく。
まず、5月22日にチャンネルへの導線としてトップページに「おすすめチャンネル」を表示する機能を実装したほか、6月3日からは、生放送時の“投げ銭”機能である「ギフト機能」を追加する。
このほかにも、今後有料会員の入会促進をサポートするマーケティングツールを追加する予定で、どの導線で入会したか、どのコンテンツが入会に寄与しているか、課金に結びついているかなどを分析できる機能を提供するとしている。
会見の後半では、ニコニコチャンネルの有料会員数1位であるメンタリストのDaiGo氏が登場。有料会員獲得に向けた自らの取り組みなどについて夏野氏とトークセッションを行った。
DaiGo氏は、ニコニコチャンネルの特色としてサブスクリプションモデルであることを挙げた。有料のサービスなのでユーザーの質が高く、いい空気感のコミュニティが形成され、他の動画サービスでは見られないような荒らしではない課金者同士のコミュニティが生まれるという。
さらに、「YouTubeは広告収益が上下するので、売れているYouTuberでも不安感を抱えている人も多い。無料のYouTubeを入口として、サブスクリプションサービスに誘導するというのが一番いい戦略ではないか。それができるのは日本ではニコニコだけ」と同プラットフォームを活用するメリットについて語った。
一方、問題点としてニコニコチャンネル入会の際の手続きの煩雑さと、動画の検索が不便であるという2点を指摘。これを受けて夏野氏も「改善する」と約束した。
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