Rendeverは、Continuum Care Hospiceに対してヘッドセットと、セッションを実行しているユーザーがVR体験をガイドできるタブレットを提供した。Rendeverは、サードパーティー製を中心に選べるVR体験のライブラリーを備える一方、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えている患者や、乗り物酔いする患者などには適さないアプリもあるため、医療従事者にそれを知らせてくれるフラグシステムを自社開発している。さらに、2人のユーザーがそれぞれヘッドセットを着けて、同時に同じアプリを体験することもできる。
VR体験を共有できるこの機能は、特に重要だ。Rendeverの最高経営責任者(CEO)であるKyle Rand氏は、社会的に孤立する高齢者が増えており、世界が狭くなると新しい共有体験を作り出すのは難しいと指摘する。
「本当に辛い時期を過ごさねばならない家族に、最後の旅行を贈ることができる。実に素晴らしいことだ」(Rand氏)
米国各地では、ホスピスケア従事者がVRの独自の使い方を模索している。
Hospice of North Central Ohioで病院付き司祭を務め、常時のテクノロジーオタクを自称するBen Roby氏は、1年ほど前、開発部門のディレクターに話を持ちかけられたときにVRに注目し始めた。
研究を重ね、地元の慈善団体から助成金も得たRoby氏は、「Windows Mixed Reality」対応ヘッドセットと「Oculus Go」を患者に使うことにした。
4カ月半の間、院内でVRを使ってもらったところ(この頃には、必ず持って出かけていた)、試した患者のほとんどが、また使いたがった、とRoby氏は話している。ある91歳の女性患者は先頃、クリフダイビングの体験をリクエストしたという。
だがRoby氏によれば、VRでスリルや平穏を求めたり、何か素敵なことをしたりするだけでなく、病院付き司祭として最後に患者と交わすことのある、もっと深刻な内容の会話でも橋渡しの役目を果たしたという。
同氏は、世界最大級の落差をもつ滝、ベネズエラのエンジェルフォールを、ある女性に見せたことがあった。
「ヘッドセットを外した女性は、『天国って、これよりいいところかしら』と言った。終末期の問題について患者とこんな会話ができるということに、病院付き司祭として、大きな可能性を感じた」(Roby氏)
ホスピスケアでのVRの使い方は、「生きているうちにやっておきたいことリスト」の希望を満たしたり、精神的な会話を交わしたりすることだけではない。
2019年2月、AT&Tと、米国でホスピス事業を手がけるVITAS Healthcareは、不安への対処や疼痛管理にVRを使う方法の研究を始めた。オピオイドの服用を減らし、患者の意識をはっきり保つことが目的だ。
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