高橋氏はさらに、2020年3月期から2022年3月期までの新中期経営計画も発表した。大きな変化となるのは事業セグメントの変更で、従来「パーソナル」「ライフデザイン」「ビジネス」「グローバル」の4つに分かれていたのを、パーソナルとライフデザインをまとめた「パーソナル」と「ビジネス」セグメントの2つにまとめるとのこと。グローバルセグメントに関しては、個人向けと法人向けそれぞれを国内事業の延長線上に結び付け、双方のセグメントに分類して統合するとしている。
その上で高橋氏は、中期経営計画における事業戦略として7つの方向性を示しており、その1つとなるのが「5G時代に向けたイノベーションの創出である」。2019年4月9日に実施された5Gの電波割り当てで、KDDIは3.7GHz帯と28GHz帯を合わせて600MHz幅の帯域を割り当てられているるが、高橋氏は「我々が獲得したのは世界的に使われている帯域。今後ネットワーク開発や端末調達でのコスト削減ができるという意味でも、非常にポジティブ」と、その優位性を示している。
さらに高橋氏は、5Gのサービス開始時期についても言及。2019年9月にはプレ商用サービスを提供し、2020年3月末までには「端末を販売する」(高橋氏)とのことで、そのタイミングで5Gの商用サービスを開始することが明らかにされた。KDDIは5年後に、基盤展開率93.2%を達成する予定だが、高橋氏は「基地局開設を前倒しするなど、積極的に進めていきたい」と話し、エリア展開を積極的に進めていくとのことだ。
5Gでさまざまなイノベーションを創出するための取り組みも加速していく方針とのこと。高橋氏は、既に展開している「KDDIデジタルゲート」を通じたパートナーとの連携による価値創出に加え、新たに地方創生の実現に向けたファンド「KDDI Regional Initiatives Fund 1号」を立ち上げることも発表。ベンチャー企業と5Gを活用したデジタルトランスフォーメーションを推進していくとしている。
高橋氏は、5G以外の事業戦略についても言及。従来より取り組んでいる通信とライフデザインの融合に関しては、従来のIDとARPAを軸とした戦略に加え、新たに「エンゲージメント」という軸を設け、通信にライフデザイン関連のサービスをセットで提供することにより、リカーリングビジネスの拡大と解約率の低減につなげていくとのこと。それによって2022年3月期には、売上高が約1.5倍の1.5兆円を目指すとしている。
グローバル事業に関しては、国内事業のノウハウを東南アジアなどで生かしていくことで、モンゴルとミャンマーで獲得している3300万以上の契約者に対し、ライフデザインビジネスを拡大する戦略をとっていくという。現在、東南アジアのいくつかの国では通信事業の再編が急速に進んでいることから、高橋氏は「(モンゴルとミャンマーの)2カ国だけで終わるわけではない。いくつか候補があるので、拡大していこうと考えている」と話し、事業展開する国の拡大についても意欲を示した。
法人向けのビジネスに関しては、トヨタ自動車と展開しているグローバル通信プラットフォームや、日立製作所や東芝などと展開しているグローバル通信プラットフォームなどによって、IoTを中心にパートナー企業との共創によって拡大を図っていくとのこと。2022年3月期には売上高1兆円を達成したいとしている。
そうした事業の拡大に加え、高橋氏は今後3年間で1000億円規模のコスト削減を実施することも明らかにした。社内でタスクフォースを立ち上げ、既存概念にこだわらない方針で経費の最小化を進めていくとのことで、システム化などによる業務効率化なども積極的に導入していく考えだという。
なお今回の中期経営計画に合わせる形で、KDDIとauのブランドスローガンを一新することも発表された。KDDIは「Tomorrow,Together」、auは「おもしろいほうの未来へ」というスローガンに変更されるとのことで、「顧客や社会にとってKDDIがどういう存在でありたいかを表現した。未来に向かって持続的に成長し、発展していく」と、高橋氏はスローガンに込めた意気込みについて語っている。
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