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大阪ガスが新たに「食」へ挑戦する理由はひたすらな顧客志向

別井貴志 (編集部)2019年05月16日 08時05分
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 大阪ガスは、新たに「食の産業」の課題を解決するために、ベンチャー企業を中心に幅広いパートナーショップを築くために「FOOD INDUSTRY SUPPORTERS」(FIS)の取り組みを開始している。特に、同社のエネルギー事業の顧客である「飲食業」に着目し、FISは「“食の産業”の未来へ共に貢献する事を目的」として、一緒に課題解決に取り組む法人パートナーを2019年3月18日(第1回締め切り)まで募集していた。

 大阪ガスが、なぜ新たに食の世界へ挑戦するのか、FISの目的とゴールは何なのか。大阪ガス エネルギー事業部ビジネス開発部デジタルビジネスチームマネジャーの木村浩康氏と、同デジタルビジネスチームリーダーの目堅智久氏に聞いた。

――ベンチャー企業を中心に幅広いパートナーシップを築くためFISを開始した背景は何でしょう。

木村氏:ガス事業は、簡単に申しますと、「仕入れて、お送りしたガスを、安心してご利用いただく」取組みになります。ご利用いただく先はご家庭のお客さまだけではなく、工場、ビル、お店と様々です。それぞれのお客さまに快適・効率的にご利用いただくために、様々な機器やサービスをご提案しています。しかし、特に法人向けでは、エネルギーの使用量の違いは勿論のこと、業種業態も異なり、お客さまのご要望も多岐に渡ります。そのため、必ずしもお客さまの関心がエネルギーにあるとも限りません。

 しかし、われわれは「(エネルギーだけではなく)何か困ったことがあった場合に頼られる」という立場になるべきではないかと考えています。これまで、お客さまとエネルギーを中心に向き合い関係性を築いてきましたが、これまでの技術・ノウハウを活かせる分野から幅広くお客さまの課題を解決するソリューションやサービスを新たに提供していくことが、新しいミッションと考えています。

大阪ガス エネルギー事業部ビジネス開発部デジタルビジネスチームマネジャーの木村浩康氏
大阪ガス エネルギー事業部ビジネス開発部デジタルビジネスチームマネジャーの木村浩康氏

目堅氏:エネルギー事業者としてエネルギーを提供してきましたが、自由化なども進み単純なエネルギー供給だけではお客さまへの差別化もなかなか厳しくなり、先ほどもありましたが、まずはお客さまに頼ってもらえる企業、「何か困ったらまずは大阪ガスに相談しよう」と言ってもらえる企業になっていきたいという思いがあります。では、具体的にエネルギー以外の部分でどの分野をと考えた際、FoodTechという言葉に代表されるように、飲食業界が注目されており、調理機器などのノウハウや料理教室、あまから手帖などのDaigasグループとしての強みを活かせる主に飲食店のお役に立てる新サービスを考えてみようとなりました。

 新サービスを検討するにあたり、「食」に関しては多くの企業の方がさまざまな目線で思いを持たれて既に取り組んでいらっしゃる分野ですので、われわれだけで一からサービスをつくるのではなく、そういった方々と一緒に飲食店を支えるサービスをつくりたいという思いから今回の取り組みを進めました。

 また、エネルギーと親和性のある水処理、LED照明、ICTサービスなどをESP(エネルギーサービスプロバイダー)事業と称して手がけていまして、その一環として今回「食」の領域に取り組みます。われわれのお客さまとして飲食店の数は非常に多く、その顧客ニーズに応えていこうとしています。

大阪ガス エネルギー事業部ビジネス開発部デジタルビジネスチームリーダーの目堅智久氏
大阪ガス エネルギー事業部ビジネス開発部デジタルビジネスチームリーダーの目堅智久氏

――単にガスを提供するだけではなく、エネルギー分野以外の面でも、顧客の課題解決プロバイダーになることを目指しているわけですね。

木村氏:そういうことです。ただ、お客さまの課題を解決するソリューションやサービスを幅広く整備していくには、われわれだけでは限界があります。そこで、一緒に取り組んでいただけるパートナー企業さまと新たな取り組みを検討しています。特に、飲食業では、集客、人手不足、高い閉店率など、店舗運営を中心に課題が多く、この解決の一助になればと考えたものが、FISの取り組みとして具現したのです。

――FISのゴールはなんでしょうか。食の課題はたくさんあります。

目堅氏:新しいサービスやソリューションを共同で提供して終わりではなく、新たに発生する課題解決に継続的に取り組めるスキームになればと思っています。

木村氏:いきなりのゴールはないと思いますので、小さいところから継続的にソリューションを提供しつつ、他の課題が出てきたら、じゃあ次はこれ、次はこれ、という形で進化させていき、トータルでご支援させていただく姿に近づいていくのが理想の形でしょう。少し大上段にかまえていうならば、「何かあったら大阪ガスに言ってください」という姿です。場合によっては、FISを通じて構築したサービスを直接提供しなくても、サポーターズの中から支援できる企業を紹介するなどの取り組みもあるでしょう。形態に拘らず、トータルでお客さまのお役に立てる姿を目指したいと思います。

――3月18日に第1回を締め切りましたが、どういう状況でしたか。

目堅氏:いったん締め切りましたが、お問い合わせがあれば随時受け付けていきます。今回は、問い合わせを入れて20件ほどありました。今後は、ご提案していただいた方々に実際にお会いするなどしてコミュニケーションをとり、その中で一緒にサービスをつくれるような方を見つけていきます。今回の募集について事務局としては、期間を長くもうけたわけではなく、広く宣伝したわけでもないですが、20件の方に関心を持っていただけたのは本当にありがたかったですし、たくさんのご応募をいただいたと思っています。今回で終わりではなく、われわれの強みを活かした新しいサービス創出に向け、継続的に受け付けてまいります。

――大阪ガスの中では「新しい取り組み」は、どのように生まれてくるのでしょうか。

木村氏:弊社にはイノベーション本部があり、各部門や外部とも連携しながら既存事業の枠を超えた新たな商品・サービス・ビジネスの創出に向けた取組みを支援してくれています。また、昔からオープンイノベーションの取り組みを推進しており、近年では若手メンバーを中心に事業創出プログラムも実施されています。

 エネルギー業界の競争は益々、激しいものとなっており、お客さまに選択いただくためには、お客さまに本当に喜んでいただけることを考えて、新しいことにトライしていくべきと考えております。このわれわれの思いを実現させていくべく、イノベーション本部やパートナー企業さまと一緒になって、新たな取組みづくりを進めています。今回のFISもその取組みの1つとなります。

――顧客志向で取り組んでいることはよくわかりました。この志向をみなさんが持てているのはなぜでしょう。

木村氏:なぜでしょう(笑)。大阪ガスはわりとそういう「お客さまのことを一番に考える」というDNAは持っていると思います。先輩方から引き継がれた変わらないDNAですね。

――FISの今後の展開は?

目堅氏:「食」の分野は、課題も多岐にわたり、われわれのこれまでのサービスだけでは支えられない部分もあるかと思いますので、一緒に考えてくださる方を引き続き求めていきたいと考えています。

木村氏:飲食業では、食品ロスや消費税対応、キャッシュレス対応など課題はいくつもありますが、その中でも個人的に大きいと思っているのは、「集客」と「人材不足」に伴うオペレーションの部分だと思います。日本の飲食業界はICT化・オートメーション化がまだまだ進んでいないので、こういう面をわれわれはサポートしていければと思っています。早く、持続的に展開できることが大事だと思っていますので、こうした思いを共有、共感できる方と一緒に取り組んで課題を解決し、お客さまに貢献したいです。

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