Googleは米国時間5月9日、モバイルOS「Android」の将来のバージョンで電子IDをサポートすることを、年次開発者会議「Google I/O」で示唆した。
Androidのセキュリティおよびプライバシーチームに所属するRene Mayrhofer氏とXiaowen Xin氏は、「『Android Q』よりも先のバージョンで、われわれはスマートフォンを運転免許証のようなIDとして使えるように、モバイルアプリに電子IDのサポートを追加することを目指していく」と述べた。
Googleは今後の計画について確かな詳細を明かしたわけではなく、今後の取り組みにおける焦点を定めたにすぎない。現時点で明らかなのは、電子IDがAndroid Qに実装される予定はないということだ。
この機能についてスケジュールを設定するのは難しい。電子IDには最高レベルの暗号化が必要であり、最高レベルの暗号化には、最高レベルのセキュアなハードウェアが必要だからだ。
Mayrhofer氏とXin氏は次のように述べている。「そうしたアプリには多くのセキュリティ要件があるほか、ID保有者のモバイル端末上のクライアントアプリケーションと、リーダーや検証装置、およびライセンスの発行、更新、取り消しに使われる発行当局のバックエンドシステムを統合する必要もある」
「われわれは、Androidプラットフォームがセキュリティやプライバシーを考慮した同様のアプリケーションに対して基本的要素を提供できるようにするため、Androidデバイス向けにAPIやハードウェア抽象化レイヤー(HAL)のリファレンス実装を提供する予定だ」(Mayrhofer氏とXin氏)
Googleは現在も「国際標準化機構(ISO)による(正式な)標準化」を待っている状態であり、それを受けて取り組みを進めるという。
AndroidのOSレベルで電子IDシステムを追加する理由は、他のアプリメーカーがアプリ内で同様の「電子認証」システムをサポートできるようにするためだ。そうしたメーカーのほとんどは、AliPayやWeChatほどの予算がない。
このプロジェクトでGoogleのエンジニアが行う取り組みの大部分は、IDを偽造できないようにする安全な暗号アルゴリズムを開発することが中心となる。
電子ID機能は、アプリメーカーがユーザーを照合して認証するための汎用ツールとして開発されているが、Androidに実装されれば、モバイルベースのIDを作成して提供したいと考えている政府も利用できる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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