ミクシィは5月10日、2019年3月期通期の決算を発表した。売上高は1440億3200万円(前年同期比23.8%減)、営業利益は410億3300万円(同43.3%減)、経常利益は411億2000万円(同43.5%減)、純利益は265億2100万円(同36.5%減)と、大幅な減収減益となった。
同日に行われた決算説明会において、ミクシィ代表取締役社長執行役員の木村弘毅氏は、減収減益の主な要因として、主力のエンターテインメント事業の「モンスターストライク」(モンスト)における、ARPU(1ユーザーあたりの平均収益)の低下が要因と説明。またライフスタイル事業においても、ダイバーズの株式譲渡などにより、前年同期比で減収になっているという。
2019年3月期の事業展開を振り返るなか、エンターテインメント事業では、モンストに関してMAU(月間アクティブユーザー)は減少傾向にあるものの、国内モバイルゲームとしてはトップクラスの水準は維持しているという。しかしながら、ライトユーザー層の消費喚起に課題があり、ARPUが低下。予定していた売上が達成できなかったとしている。
また、モンスト派生ゲームや新規IPゲームは企画・開発体制に課題があり、リリースの延期や一部プロジェクトの中止も行ったという。現在はリリースに支障がでないよう、人員体制の強化に着手しているという。通信系サービスの中止もあり、期初に110億円の投資を計画していたが、実際には50億円の投資になったと説明した。
スポーツ領域については、各種プロスポーツとのパートナーシップ契約、スポンサー契約を実施。さらに、今後の成長展開が期待できる領域においては、事業展開のコアとなる会社とのM&Aも実施したという。またメディア領域については、家族アルバム「みてね」の拡大など既存事業のグロースや、選択と集中を実施。ウェルネス領域は女性専用コンディショニングスタジオ「ココサイズ」の1号店オープンするなど、展開を進めていると語った。
2020年3月の方針として「モンストのリバイブ」と「スポーツ領域の事業成長」を掲げ、この2つに経営リソースを投下するという。
モンストについては業績回復のためのテコ入れが必要な状態にあるとし、3周年で劇的なリバイブを起こしたマーケティング責任者を、モンスト事業におけるトップとするなど責任者と体制を変更。ゲームとしても原点回帰をテーマに、ライトユーザーも楽しめるゲームに立ち返ることで、ユーザー全体の活性化に繋げていくとした。
スポーツ領域については「プロスポーツチーム経営」と「公営競技」の2つに注力し、早期の収益貢献を目指すという。
プロスポーツチーム経営については、4月にBリーグ所属のプロバスケットボールチーム「千葉ジェッツ」を運営する千葉ジェッツふなばしとの戦略的資本業務提携ならびに、株式取得の契約締結を発表。木村氏は「Bリーグの市場規模そのものも年間成長率が30%と拡大しているうえ、千葉ジェッツはそれを上回る成長で市場をけん引したチーム」を評する。そこにエンターテインメント事業で培ったO2Oノウハウを掛け合わせることで、さらなる成長を加速させるという。
また、1万人規模のアリーナを建設予定。アリーナとセットで新しいエンタメを提供するとともに、観客動員の増加にともなう収益増も見込み、収益の大きな成長を期待しているという。現状では建設地や時期について、回答できる段階ではないとしながらも「なるべく早いタイミングでのアリーナ建設を目指していきたい」とした。
公営競技については、2月に競輪車券(勝者投票券)のインターネット投票サービス「チャリロト.com」を提供するチャリ・ロトの全株式を取得したと発表。競輪のオンライン市場規模、そしてチャリロトの売上も成長しているという。木村氏は「競輪をさらに熱狂できるエンターテインメントに昇華させ、若者など新しい顧客を巻き込み、さらなる事業成長を実現できると考えている」とした。
なお、2020年3月期通期の業績予想も公表。売上高は1000億円、営業利益と経常利益は50億円、純利益は30億円と、大幅な減収減益を見込む。前期からの売上高減少予想については、モンストのARPUの悪化を織り込み、前期比マイナス30%を想定。なお、リバイブ施策を加味せず、さらに新規ゲームなどの売上高も盛り込んでいない数字としている。また営業利益の減少予想は、モンスト売上減による営利減、移転一時費用、事業領域への投資によるものとしている。
木村氏は「今期の業績予想が、大きく減収減益となっていることに危機感を感じている。なんとしてもモンストを再起させるとともに、モンスト頼みにならないようにサステナビリティの高いスポーツ事業で利益を積み上げる。さらにモンストのような新しい大ヒットも狙っていく」と語った。
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