メルカリは5月9日、2019年度第3四半期(1月〜3月)の連結決算を発表した。売上高は135億9000万円で前年同期比39.3%増。前年同期比43.8%増。営業損益は23億2600万円の赤字、純損益は28億6500万円の赤字。また、連結業績の累計(2018年7月~2019年3月)では、売上高373億7800万円(前年同期比43.0%増)、営業損益は59億8100万円の赤字、純損益は73億4100万円の赤字となった。
日本国内の「メルカリ」サービス事業は順調に成長しており、ユーザーの取引総額を表すGMV(Gross Merchandise Value:流通総額)は1444億円と、利益を挙げているが、将来の成長を期待するアメリカでの「メルカリ」サービスや、2月にサービスを開始した「メルペイ」への多額投資を続けた結果、最終赤字だった。
国内メルカリ事業の売上高は121億円で前年同期比34.2%増。GMVは1330億円で前年同期比41.8%増。営業損益は20億円で前年同期比マイナス32.1%。ただしこれは、メルカリの決済機能をメルペイに移管したことが大きく影響しており、移管しなかった場合、前年同期とほぼ変わらない結果としている。
ユーザーが取引する品目を見ると、前年同期と比べると特に本やCD/DVD、ゲームなどエンタメ・ホビー領域の品物が増加したとしている。この領域のGMV全体内の構成比は、前年同期が18%だったが、今期は21%となった。この背景には、品物のバーコードを読み取るだけで品物の名称と説明を自動的に入力できる「バーコード出品」があるという。ほかにも、ユーザーがスマホのカメラで撮影した画像を機械学習で解析して、同種の商品の検索結果を提示する「写真検索」機能などを追加したことなどが良い効果をもたらし、GMVの伸長につながったとしている。
アメリカでのメルカリ事業はGMVが1億300万ドルで前年同期比69.6%増という結果になった。2019年3月に実施した広告出稿によって新規ユーザーを獲得したほか、アプリの機能改善で出品数が増加したことが良い結果につながったという。3月の広告出稿では、TV CM、オンラインメディア、インターネットラジオに広告を出稿した。
2019年2月に開始した決済サービス「メルペイ」は、サービス開始後63日で登録者数が100万人を突破し、上々の滑り出しを見せている。2018年5月現在、加盟店は135万カ所まで増加しているが、2019年中には200万カ所まで伸ばす目標を立てているという。4月23日からは、加盟店での商品購入代金の「あと払い決済」に対応している。
メルカリ 執行役員 CFOの長澤啓氏は、メルペイ事業について「現在はユーザー数と加盟店を拡大するために先行投資している段階。並行してあと払いサービスを強化していく。メルペイが成長することによってメルカリのGMVにも貢献するだろう」と見通しを語った。
その後は、蓄積した大量の取引データを活用して、加盟店への付加価値提供や、個人に対する与信などでメルペイ事業単体での収益化を狙うと長澤氏は語った。
2019年度通期は、連結売上高が500〜520億円となる見通しだという。日本のメルカリ事業の通期売上高は450〜470億円となり、前年比のGMVは40%以上増加する見込みだ。
米国でのメルカリ事業については、第4四半期のGMV成長率が前年同期比で70%前後増加と、第3四半期とほぼ変わらないペースで成長する見通しを示した。そしてメルペイについては、現在はユーザー数と加盟店数を着実に増加させ、通期売上高を拡大することに注力するという。
メルカリは新規事業の立ち上げや育成に向けた先行投資を続けており、米国のメルカリ事業と決済のメルペイ事業に積極的に投資している。今期は50億円ほどを両事業におおよそ半々の比率で投資したため、結果赤字決算が続いている。
この点について長澤氏は「中核となる国内のメルカリ事業はすでに収益が上がる体質になっている。黒字化を優先させるなら、コストを削減するなどの手段を取れば可能だろう。しかし現在は、将来の中長期的な成長のためにコストをかけて赤字にしている」と、目先の黒字化よりも、将来の成長を見据えた赤字であることを強調した。
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