4月17~18日、カルダノ・ブロックチェーンの開発を進めるIOHKとそのパートナーを中心に、800人以上のブロックチェーン関係者を集めたIOHK Summitカンファレンスがマイアミで開催された。
第3世代ブロックチェーンのひとつと言われているカルダノで、どのような動きや進捗が生じているのかをカンファレンス内で取り上げられた事例と共に紹介したい。
2014年に北米ビットコインカンファレンスがマイアミで開かれ、そこからスタートしたというイーサリアム。IOHK社代表のチャールズ・ホスキンソン氏はそのイーサリアムの元共同創業者でもある。チャールズ氏によるIOHK Summitのキーノートでは、第3世代のブロックチェーンとしてどのようなことに取り組んでいるのか、そしてなぜそれに取り組む必要があるのかを紹介した。
イーサリアムの次の世代のものを作ろうということになったとき、3つのことを目標に掲げたという。1つ目はスケーラビリティの向上。より速く、数千万人、数十億人の人が使っても十分なパフォーマンスが保てること。2つ目は相互運用性だ。異なる仮想通貨やブロックチェーン技術同士でも相互に接続して運用できるものにしていくこと。最後が持続性。そのブロックチェーン技術に対して誰が対価を支払い、誰がその発展のために決断を行っていくのか。カルダノではピアレビューを重視した開発方針によりエジンバラ大学、アテネ大学、東工大学でブロックチェーン研究所が設立されている。
論文は、ブログラミング言語、どのような台帳であるべきか、会計システム、どのようなセキュリティーであるべきか、そしてマイニング報酬を得る人を決める方式であるプルーフ・オブ・ステークなど、40以上のさまざまなテーマで作成されている。こうした取り組みがオープンソース・プロジェクトとしてコミュニティーを構築しながら行われているのだ。
そして現代のブロックチェーン技術は、インターネットの発展に例えれば、ダイヤルアップ接続時代のようなものだという。セキュリティーの問題や、パフォーマンスの問題から、インターネットでもビジネスが本格的に動きだすにはブロードバンドが日常的なものになるのを待つ必要があった。ブロックチェーン技術もまだそうした黎明期にあり、今後のインフラとしての基盤を作っているというのが第3世代といわれるブロックチェーン技術の取り組みであるという。
2018年12月にエジンバラ大学で行われたカルダノのスマート・コントラクト技術に関する発表をレポートしたが、その後エチオピアでこの技術を広げていくための取り組みが行われている。
エチオピア政府のイノベーションと技術推進を担当する省庁と提携し、Haskell(PlutusはHaskellベースで作られたスマート・コントラクト用の言語のため)のエンジニアを育成するカリキュラムが2018年1月から3月にかけてアジスアベパで行われた。政府からの要請により対象となったのがすべて女性エンジニアであり、選抜された18名のエチオピア人と4名のウガンダ人が参加し2カ月間実施された。
この女性エンジニアたちがアフリカでのブロックチェーン技術の普及と提供を進めていくうえでリーダーとなっていくことが期待されている。2019年、彼女たちがリーダーとなりアフリカの25カ国でブロックチェーンのハッカソンを行われる計画だという。
カンファレンスの中ではエチオピアをはじめとするアフリカ諸国では土地の登記簿など先進国ではすでに整備されている仕組みが未整備な国が多いことが紹介された。ブロックチェーン技術を使ってインフラとして必要となるこうした仕組を社会に実装化していくことを狙っているという。
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