商業・文化施設などの空間づくりを手掛ける丹青社は4月19日、ブロックチェーンを活用した日本のアート・工芸作品のプラットフォーム「B-OWND(ビーオウンド)」を、5月10日より開始すると発表した。
B-OWNDは、日本のアーティスト、工芸家と世界中のコレクター(購入者)、キュレーター、美術評論家(レビュアー)を直接つなぎ、コミュニケーションの促進から、作品の販売・購入まで可能なサービス。売買証明をブロックチェーンで管理することで、作品の真贋および流通管理機能を提供する。
アーティストが情報や作品を発信できるメディア機能では、プロモーション、キュレーションメディアの機能を提供。多言語対応も進め、海外に向けての発信も可能となる。コレクターはアーティストの発掘や交流が可能なほか、レビュアーによる作品評価も実現。EC機能では、国内外のコレクターに作品を販売することで、日本のアート市場の拡大を目指す。
ブロックチェーン環境は、東大発ベンチャーのスタートバーンが提供する「アートブロックチェーンネットワーク(ABN)」を採用。ABNは、ECやオークションなど複数のサービスと接続し、売買を記録する。これにより、「どこで、だれが、いくらで購入した」「特定の期間に美術館で展示された」など、作品の来歴をさかのぼることができる。同社では、すでにSBIアートオークションなどとも提携しているが、B-OWNDはABNへの初の接続サービスとなる。
ABNを活用することで、オークションなど二次流通を含めた購買の履歴がたどれることで、これまでアーティストには還元されなかったオークション落札額の一部をアーティストに還元するといったことも可能になるという。
現時点での参加アーティストは、市川透氏(陶芸家)、加藤亮太郎氏(陶芸家)、古賀崇洋氏(陶芸家)、田辺竹雲斎氏(竹工芸家)、谷川美音氏(漆芸家)、中村弘峰氏(人形師)、奈良祐希氏(建築家・陶芸家)、ノグチミエコ氏(ガラス作家)、古垣彰拡氏(陶芸家)、若宮隆志氏(漆芸家)。
アート作品における価値保存について、丹青社 文化空間事業部 事業開発統括部 B-OWNDプロデューサーの石上賢氏は、“来歴の有無”が重要なポイントになるという。「アーティストが作品を生み出し、時間経過とともにコレクターが購入したり、メディアで取り上げられたり、美術館に展示されたりするが、どういう来歴を経たのか分かった方が価値向上につながる」とし、「今はアナログの証明書が一般的。紙の証明書や工芸でよく使われる箱書きのものもあるが、作品によっては把握できなくなり消えていく。証明書をブロックチェーンで再定義できないか」と語る。
また、日本のアート・工芸では、次世代人材の育成や活動基盤の確立が課題となっており、国内外で日本のアート作品、特に日本文化を象徴する工芸作品の価値を高め、作品の販売・流通経路を確保することが必要という。世界的に見て日本のアート市場規模は小さく、今後成長させていく取り組みが重要になる。同社では、B-OWNDで国内のアート市場を拡大し、日本の文化芸術の振興に貢献するとしている。
なお、石上氏の父親は画家であり、こうした国内アーティストの課題を解決したいという想いを長年持っていたことも、サービス提供の背景にあるという。
サービス開始に伴い、4月19日~20日には、ブロックチェーン企業専用コワーキングスペース「BINARYSTAR(東京・銀座)」において、サービスのデモを体験できるプレイベントを開催。B-OWNDの参加アーティストも来場し、作品の説明から先行購入予約が可能になるとしている。
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