ビットリアルティが提供する「bitREALTY」は、ここ数年プレーヤーが急増した不動産クラウドファンディングとは金額、内容ともに大きく一線を画す不動産ファンドだ。インターネットを通じて投資ができる「オンライン不動産投資プラットフォーム」で、投資対象は機関投資家や金融機関など、一部の「プロ向け」に限定されていた物件。1月の募集開始以来、3つのファンドを立ち上げ、いずれも満額申込みを達成している。
新しい不動産投資を提供するbitREALTYとは、不動産業界にどんな影響をもたらすのか、どんな未来を目指すのかを、ビットリアルティ 代表取締役社長の菊嶋勇晴氏に聞いた。
ビットリアルティは、総合不動産サービスプロバイダーのケネディクスと野村総合研究所(NRI)の合弁会社で、2017年6月に会社を設立しました。ケネディクスは、不動産に関する知識は豊富ですが、それをお客様にオンラインを使って安全に届けるノウハウがなく、それならば、システムインテグレーターであるNRIと組んでやっていこうと立ち上げました。
不動産のクラウドファンディング商品は、物件情報の開示がなく、匿名化と複数化が必須で、それによる弊害もないとは言えなかった。そうした弊害が生じる要素をすべてはがして、どんな物件に投資するのか、その物件にはどんなテナントが入居しているのか、という情報がわかった上で、投資ができる環境を作ったのがbitREALTYです。
ケネディクスグループでは、不動産投資信託と呼ばれるリートの提供をしていて、そちらでは物件の情報は開示されているのが当たり前。そのような環境で不動産投資をしている目利きの人たち対して、情報開示ができない商品の提供は難しいと思いました。
そこで、ビットリアルティでは、2018年11月に第二種金融商品取引業(電子申込型電子募集取扱業務)の登録を完了。その後年明けから営業を開始し、現在に至っています。
――金融商品取引業者としての登録を前提に、会社を設立したのですか。早い時期から金融商品取引業者として登録を目指すことは決めていました。今までの不動産ファンドにはない形にチャレンジするわけですが、真正面から取り組むのが、一番の近道だなという感覚がずっとあって、関係各所に対してはストレートボールを投げ続けることで、理解を得てきたように思います。
――そこまでしながら物件の情報開示にこだわった理由は。自分が投資する立場になったときに、わからない物件に大金を投資するのはやっぱり難しいですよね。私たちが取り扱うのは、一口100万円以上という高額商品ですし、大金を投資していただくためにはできるだけ詳細情報を提供したい。そうでなければ投資家の方に納得はいただけないと思いました。
――一口1万円~と少額で始められる不動産のクラウドファンディングが増えていますが。それらのクラウドファンディングとは、投資家の対象が違うと考えています。投資金額もそうですが、私たちが取り扱うのは、メザニンローンやジュニアローンが中心で、この言葉自体、不動産投資のリテラシーが高い人でないとわからない。多分、株式投資をしているお客様でも、ご理解いただくのは難しい商材だと思っています。
確かに、非常に難しい投資商材なのですが、ビットリアルティが手がける電子申込型電子募集取扱業務は、案件情報の開示から投資家からの申込に至るまでを電子的に取り扱うことが義務付けられており、開示した内容を説明するためにお客様に直接お会いする行為は原則禁止されています。
そのため、お電話での受付窓口は設置しておりませんし、メールで問い合わせを受けても、弊社のウェブサイトにご案内する形になります。こういったお客様サポートの面でも、ほかの不動産クラウドファンディングやファンドとは異なる事業だと思っています。
商品内容が難しいことに加え、サポートできる内容が制限されていることは、私たちにとっても非常に高いハードルです。認知拡大するためには、多くの商品を出して、償還金を返還する実績を積み上げていくことだと思っています。その積み重ねで信頼を獲得しながら、お客様を増やしていきたいと思っています。
――商材について説明したいけれど、ウェブサイトのみのサポートだとジレンマがありそうですね。ただ、これだけスキームがしっかりとしている不動産ファンドは珍しいと思います。不動産投資はトラブルもあり、実際にひどい対応をしているサービスもありますから、いい意味でbitREALTYのような、情報を開示する流れにならなければいけませんね。カスタマーサポートは、完全に電子的なもののみと定義されているのですか。このあたりもほかにはないサービスなので、確認しながら進めているところです。基本はウェブサイトでのご案内のみにして、新たに投資家とのコミュニケーションが出来るサービスを導入するなどの検討もすすめています。
――現在、取り扱っている物件について教えてください。第3号までのファンドを募集し全て案件成立となりました。第1~2号は、六本木にあるホテルと商業ビル、第3号は都内の新築マンションです。いずれも不動産担保ローン債権へ投資するファンドになります。第1~2号ではこのビルの不動産信託受益権を保有するSPC(合同会社RRB)に対するローンの一部を、ビットリアルティが組成するSPC(合同会社BRD3)が取得し、投資家の方は、このSPC(合同会社BRD3)への匿名組合出資を通じて、ビルの不動産担保ローン債権に投資頂くスキームとなっています。
かなり高いです。プロレベルの方という感触はあります。bitREALTYの良さは流動性の低さだと思っていて、一般的にリートでは、投資口価格が上がるとその後に調整で下がるのがこわい。しかし、bitREALTYは価格の変動が起こりにくいため、不動産本来の商品性をより安心して投資いただけると思っています。本来の商品性をいかした不動産投資ができます。
――不動産クラウドファンディングとの違いをいかに投資家に理解してもらうかが、今後重要になりそうですね。私たちはクラウドファンディングとは思っていなくて、サービスカテゴリーもオンライン不動産投資プラットフォームと言っています。機関投資家などプロ向けに提供されていた、品質の高い不動産金融商品をネットを通じて個人の投資家に提供することに重きを置いていますから、クラウドファンディングとは全くの別物と捉えていただいてよいかと思います。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス