農業ベンチャーのオーガニックソイル(OSMIC)は4月15日、今後の事業展開に関する記者説明会を開催した。なお、5月1日付けでオーガニックソイルから「株式会社OSMIC」へ商号変更する予定だ。
オーガニックソイルは、高糖度ミニトマトなど高付加価値の作物を品種開発するとともに、独自開発の高密度微生物有機培土を適用したビニールハウス「オスミックハウス」をパートナー生産者に提供。パートナーが栽培した野菜や果物を買い取ってブランド野菜・果物として消費者に販売している。
オスミックハウスに各種センサーを配置し、収集したデータを蓄積・解析利用することで、良質の高糖度フツーツトマトを安定生産する周年栽培を実現。ハウス内の気温・湿度などの気候条件を24時間管理する高機能環境制御システムが特長だ。
収穫したトマトは選果機にかけ、糖度別に「3star」「Premium」など4つの種類に分けてパッケージ化して出荷する。フルーツのように甘いものや、甘さの中に酸味や野菜の風味があるものなど、消費者は好みに合わせてミニトマトを選べる。
現在のOSMICトマトの全生産規模は約2ヘクタールで生産量300トン。新たにライフデザイン阪急阪神や三交不動産など生産パートナーらが新たなハウスを建設中で、2020年3月には、6ヘクタールで生産量1000トンになる計画だ。さらに生産パートナーを拡充し、2026年には100ヘクタール、1万5000トンの収穫、生産出荷額300億円を目指す。トマト以外にイチゴやほかの農産物の開発にも注力し、商品ラインアップを広げるとしている。
今後は、大規模なOSMICトマト生産施設と、有名シェフ監修のカフェレストランやマルシェに加え、キャンプやグランピング等のアウトドア施設、宿泊施設を併設する「参加型農業テーマパーク」を推進する予定だ。
オーガニックソイル 代表取締役社長の中川英之氏は、「農業のテーマパークはいくつかあるが、エネルギーのスマート化をしたい。バイオマス発電や大型の蓄電設備を入れてまずは電気と排熱を利用するほか、さらに産業界で排出されるCO2を分離回収して農業に生かす“農業トリジェネレーション”をやってみたい。さらに栽培物の残渣(残りかす)もバイオマス発電の燃料に利用できれば、トリジェネからさらにもう一歩踏み込んだ4つの資源を利用できる」とし、環境保全の循環型農業を目指すとした。
場所については、「ベンチャーなので単独ではできない。まずは自治体の協力が必要。いま話をしているのは、千葉県、茨城県、埼玉県、静岡県。10ヘクタール以上、マックス50ヘクタールぐらいまでの土地に作れれば」(中川氏)と説明した。
この事業に伴い、クリーンエネルギーなどをコア事業とするいちごと資本業務提携契約を締結。共同で参加型農業テーマパークの開発を進める。いちごは、クリーンエネルギー事業や不動産のアセットマネジメント事業などを行っている企業だ。
いちごが子会社としていたテヌートは、ビニールハウスにおける作物の光合成を最適化するため、産業界で排出されるCO2を分離回収し、それらを光合成の作用に合わせて効率的に施用するCO2局所施用システムの開発および施工を行ってきた。3月31日付けでいちごとテヌート創業者が保有するテヌートの全株式をOSMIC株式と交換し、テヌートをOSMICの完全子会社としている。
このほか、海外事業を計画中で、まずは中国の厦門(アモイ)とインドネシアにバリ島で現地法人を設立。肥料工場や試験農場を設置し、2020年より本格的な生産事業を開始する予定だ。
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