ヤンマーは4月5日、東京駅八重洲中央南口駅前にあるヤンマー東京支社ビル跡地を活用して、ビアテラス&ベーカリーカフェ「THE FARM TOKYO」をオープンする。10月31日までの期間限定で、営業時間はエリアによって異なる。屋外で昼はベーカリー&カフェ、夜はビールや本格的なバーベキュー、グリル料理などが楽しめる。
ヤンマーといえば、農業機械メーカーのイメージを持つ人が多いことだろう。実は、生産者と消費者をつなぐ取り組みにも力を入れ始めている。
ヤンマー独自のノウハウや技術、ネットワークをもとに、生産者を支援。持続可能な農業・漁業の実現に向け、ヤンマーは4月1日に新たに「食事業化推進室」を設置した。グループ全体で食事業を推進していく。
ヤンマー 専務取締役 食事業推進室室長の小林直樹氏は、「つくることに専念してきた生産者を、消費者の要望を先取りする生産者にすること。また消費者がより食を楽しみ、健康になる社会作りに貢献したい」と説明した。
食分野への取り組みとして、生産者と消費者をつなぎ、食の新しい豊かさを提案する「Premium Marche(プレミアムマルシェ)」の活動として、大阪にある本社社員食堂の一般開放やECサイトでヤンマーオリジナル商品の販売や素材の情報発信などを行っている。
米の年間消費量は、1962年の118kgをピークに減少傾向にあり、2016年には54kgへと半分程度にまで減少している。そうした背景を受け、米の新しい付加価値を創出することでお米の消費拡大と日本農業の活性化を目指し生み出されたのが小麦の代替となる「ライスジュレ」だ。
原材料は米と水だけで、ヤンマー独自の技術でゲル化したもの。安心素材ながら、「増粘」「ゲル化」「安定化」の機能を持つ添加物にも替わりうることで、食の安全にも役立つ。
量産化に成功し、一般向けにも販売。小麦アレルギーやグルテンフリー生活を実践している人に人気があるほか、洋菓子店、ベーカリー、外食産業など幅広い分野で採用されているという。
THE FARM TOKYOでは、ライスジュレを使用したソフトクリームやパン、ピッツアなどを販売するほか、ヤンマーオリジナルスムージーを提供。プレマル特選食材を使用したバーベキューやグリルなど、都会の真ん中で食と自然と人をつなぎ、豊かな食体験を提供したいとしている。またライスジュレの販売を東京行っている。
また、サントリーと提携し、ドリンク類はサントリーが提供する。サントリーは、「ビール固有の価値は“泡”にある。泡がビールの最大の特長。美しい泡はうまさの証」(サントリービール 執行役員 マーケティング本部長 和田龍夫氏)として、ビール本来のおいしさを伝えることで市場の活性化を図っている。
1分間に4万回振動の超音波を当てることで、個人でも缶ビールからきめの細かい泡が注げるよう開発した「神泡サーバー」もそのひとつ。
THE FARM TOKYOでは、泡に絵を描ける“神泡”アートを体験できるコーナーを設置している。基本となるビールを注いでもらい、自身で泡を注いだ後に機械から好きなメッセージを選ぶと「麦芽エキス」を使ってプリントできるというもの。「Happy Birthday」といったお祝いメッセージをプリントすることも可能だ。
現在、更地になっているTHE FARM TOKYOの敷地は、2022年秋に東京支社を完成予定だ。「新しい食文化をつくる場所にしたい」(小林氏)とし、今回の試みをもとに、新たなビジネスのチャンスを探る。
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