ウェブトラフィックは傍受される可能性がある。安全ではない接続を経由してデータが送信されれば、インターネットサービスプロバイダーから、ツールを使って通信を傍受する攻撃者などの手にデータが渡ってしまう恐れがある。
ウェブセキュリティ企業のCloudflareは、そのようなことが起こらないようにしたいと考えている。同社は米国時間4月1日、モバイルからのウェブトラフィックを見えないようにするような新しいVPN(仮想プライベートネットワーク)サービス「Warp」を発表した。また同社はこの新サービスで、VPNを使うと通信速度が遅くなる場合があるといった、通常のVPNで起こりうる問題にも対応しようとしている。
知識の豊富なインターネットユーザーはすでにVPNを使っているかもしれないが、友達や家族を説得してVPNを利用させるのは難しい場合がある。Cloudflareによれば、新しいサービスは一般的なウェブユーザーでも利用できるよう改善されているという。
Cloudflareの最高経営責任者(CEO)Matthew Prince氏はブログ記事で、親しい人たちにVPNの利用を勧めてもうまくいかなかったとし、Warpを開発したと述べている。
電子メールや銀行取引といった機密性の高いウェブトラフィックの多くは暗号化され、何者かが傍受して読み取ることができないようになっている。だが、すべてのトラフィックがそうなっているわけではない。VPNはユーザーのウェブトラフィックをすべて暗号化し、このような問題に対応する。
これらのツールへの関心が急激に高まったのは、2017年のことである。インターネットサービスプロバイダーによるウェブ閲覧履歴の販売を禁じるObama政権時代の方針が米国議会によって覆されたことがきっかけだった。しかし、Prince氏が指摘したように、VPNには問題もある。例えば、一部のサービスは利用者のウェブトラフィックをすべて読み取って、商業目的に使用していたことも発覚している。またあるVPNは、自社の無料製品を使用しているユーザーの帯域を利用して、有料のサービスに利用していた。
Cloudflareによると、Warpは外部監査を定期的に受けて、プライバシーの約束を守っていることを確認することで、これらの問題を回避するという。同社はフリーミアムモデルで売り上げを得て、最終的に企業バージョンのVPNを利用する企業に課金する予定だ。そして、Warpの利用者が増えれば増えるほど、ウェブサイトのパフォーマンスを向上させるCloudflareのほかの製品もより効果的に機能するようになるという。Prince氏は、Warpが普及すれば、Cloudflareのほかの製品の価値も高まると述べている。
Warpには、Cloudflareのモバイルアプリ「1.1.1.1」から登録できる。ただし、このサービスはまだ提供されておらず、登録したユーザーは順番待ちリストに追加される。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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