「N高」卒業生、不登校経験者も8割が進路見つける--開校から3年間の実績を初公開

 2016年4月にネットの通信制高校「N高等学校」(N高)が開校してから3年が経つことを受けて、3月27日にこれまでの実績が発表された。ドワンゴ代表取締役社長の夏野剛氏と、N高の校長である奥平博一氏が登壇し、生徒数の推移などに加えて、卒業率、進路決定率、保護者の満足度などを初めて明かした。

開校から3年間の実績を紹介
開校から3年間の実績を紹介

 まず、開校当時1482人だった生徒数は、現在約5.3倍の7875人に増え、2019年4月には9000人以上の生徒数になる見込みだという。また今春入学の生徒数は4000人を超える見込みで、これは他通信制高校を含む日本全国の高校の4月入学者数としては日本一になると説明する。

生徒数は初年度の約5.3倍の7875人に増加
生徒数は初年度の約5.3倍の7875人に増加

 なお、このうち通学コースの生徒数は792人に達しており、4月時点では1500人まで増える予定。通学コースのキャンパスも現在は全国8カ所にあるが、要望を受けて4月には13キャンパスまで増やす予定だという。

 生徒の男女比は男性52%、女性48%でほぼ半々。年齢は16歳が32.1%、17歳が32.4%、18歳が19.9%で大半を占めるが、20〜40代も少数だが入学している。居住地については関東が47.7%と圧倒的に多く、それに近畿(20.4%)や中部(12.7%)、九州・沖縄(8.7%)、北海道・東北(5.8%)などが続く。

生徒の男女比、年齢構成
生徒の男女比、年齢構成

不登校経験があってもチャンスがあれば進路は見つかる

 気になるのは入学した生徒が実際にどれだけ卒業したのかということだが、夏野氏によれば、一期生として初年度に入学し、2019年3月に卒業した生徒は74%だという。ただし、転校や退学などやむを得ない理由で辞めた生徒を除くと卒業率は84.3%まで増える。さらに、1〜2年生で必要な単位を取得して、3年生になった一期生の卒業率にいたっては96.7%に達していると説明した。

 続けて、卒業生の進路決定率が81.8%であることも明らかにした。夏野氏は、全日制高校が94.3%、通信制高校が61.5%とする文科省のデータを紹介しつつ、N高はこの中間に位置する数字を記録しているとコメント。ただし、全日制高校に比べると大学進学率は低く、専門学校や就職に進む生徒が多いといった特徴があるとした。

卒業生の進路決定率
卒業生の進路決定率

 N高では、入学時に「不登校を経験した」かどうかをアンケートしており、初年度に入学した1221人のうち不登校だったと答えた312人の進路決定率を調査したところ、77.1%と8割近くがN高を卒業して、次のステップに進むことが分かったという。「不登校の経験がある方もない方も、チャンスをご用意すれば(進路決定率は)変わらないことを実証できた」(夏野氏)。

入学前に不登校を経験した生徒のうち約8割の進路が決まっている
入学前に不登校を経験した生徒のうち約8割の進路が決まっている

 なお、卒業生の大学合格実績として、2018年度は慶應義塾大学に8人、早稲田大学に2人、上智大学に1人、明治大学に3人、九州大学に1人、筑波大学に1人など、難関大学に合格した生徒が多数いるほか、キリロム工科大学やスタッフォードシャー大学にそれぞれ1人ずつなど海外の大学に合格した生徒もいるという。

卒業生の大学合格実績
卒業生の大学合格実績

 N高出身のスターも生まれている。フィギュアスケート選手の紀平梨花さんはN高生として知られているが、ほかにも上野愛咲美さんが囲碁の「女流棋聖」を獲得したほか、広瀬優一さんが囲碁の「新人王」を獲得。さらに、相原翼さんがeスポーツ「ウイニングイレブン 2018」で金メダルに輝いたほか、清水郁実さんが「第30回 国際情報オリンピック」で銅メダルに輝いている。

 「大学に進学することは一般的だが、すでに目標が決まっている人にとっては、N高が大きな選択肢になっていることが、彼らの活躍を見ればおわかりいただけるのでは」(夏野氏)。

N高の生徒からスターも生まれている
N高の生徒からスターも生まれている

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