Googleが開発した新しいコンピューティングツールを利用すれば、開発者はユーザーのプライバシーを尊重する人工知能(AI)搭載アプリを構築できる。
Googleは米国時間3月6日、「Federated Learning」と呼ばれるAI訓練システムを組み込んだオープンソースソフトウェア「TensorFlow Federated」をリリースした。TensorFlow Federatedはスマートフォンやタブレットなど、さまざまなデバイスに分散しているデータを使用して、新しい能力を習得する。しかし、そのデータを学習のためにデータを中央サーバに送り返すのではなく、スマートフォンやタブレット上で学習し、学習したことだけをアプリメーカーに送り返す。
Federated Learningは「デバイス上にデータが存在する場所のすぐ隣で、機械学習アルゴリズムの一部」を実行すると、Google ResearchのプロダクトマネージャーのAlex Ingerman氏はインタビューで述べた。このアルゴリズムは既に知っていること(電子メールへの返信の提案など)をスマートフォン上のデータに適用し、そのプロセスで学習した内容の要約を作成して返信する。
TensorFlow Federatedは、コンピューティング業界を席巻しているAI革命に、プライバシーを尊重する重要な新機能を追加するものだ。AIは機械に十分な学習をさせて、現在では人間を必要とする作業を完了できるようにすることで、私たちの働き方や生き方を変えると期待されている。例えば、多くの人がテキストメッセージアプリの辞書に「side-eye」(目だけを横に動かして不満やいら立ちを伝えること)という単語を追加した場合、アプリは独力でその単語の語法を理解して、標準の辞書に組み込むことができる。
これらのタスクの処理能力を高めるために、機械は大量のデータを見る必要があり、そのことがプライバシーを懸念する人々に不安を抱かせている。Federated Learningはそうした懸念を和らげるのに役立つだろう。
TensorFlow Federatedは「Android」スマートフォンや「iPhone」向けの「Gboard」キーボードなど、Googleのいくつかのアプリに既に組み込まれており、入力候補を提示するために入力パターンを分析している。今回、TensorFlow Federatedが無料で共有されるオープンソースソフトウェアになったので、AIプロジェクトに携わるほかの開発者も、一から始める必要がなくなる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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