世界60カ国以上で2200社以上に投資する米国のベンチャーキャピタル500 Startupsの日本向けファンドである500 Startups Japanの創業者、James Riney氏と澤山陽平氏は3月5日、新会社であるCoral Capitalを設立し、2号ファンド「Coral Capital」を組成したことを発表した。一次募集で、ファンド総額は当初目標の50億円に達したという。
2016年に日本での活動を始めた500 Startups Japanは、投資活動や投資先の支援に加えて、シードスタートアップのための契約書のオープンソース化や、起業家向けの記事発信や勉強会、さらには投資先スタートアップの合同採用イベントの開催などによって、起業家コミュニティの醸成にも注力してきたと澤山氏は説明する。
500 Startups Japanは、不動産やヘルスケア、金融、物流など、テクノロジーの活用が進んでいない大きな市場を変革するスタートアップを中心に、過去3年間で43社に投資し、投資先の累計調達額は150億円を突破しているという。代表的な企業はHRテックのSmartHRや、宇宙ビジネスのインフォステラなどだ。また、レストラン予約のポケットコンシェルジュなど、投資先のうち3社がイグジットした。
今回立ち上げた新ファンドの名前であるCoral Capitalは、海の様々な生き物の生活を支えるサンゴ礁(Coral)のように、スタートアップ業界の起業家を支えたいという思いを表しているという。「戦略的に、未来へ」をミッションに、社会や業界の課題に挑む起業家に投資していく予定。
Riney氏は、「Coral Capitalは、500 Startups Japanと同じ戦略とチームで、引き続き日本のシードステージのスタートアップを支援していく。今後も日本のスタートアップエコシステムの発展のイニシアチブについて、米500 Startupsと協業を続けていく」と思いを語った。
Coral Capitalへの出資者は、みずほ銀行、三菱地所、電源開発、新生銀行、そのほか国内外の著名な個人投資家やその運用ファンドなど。新ファンドでも引き続き、シードステージの日本のスタートアップに投資し、40〜50社への投資を目指す。投資期間は2〜3年。初期投資は1000〜5000万円、追加投資は5000万円〜2億円を予定している。
500 Startups Japanとしてではなく、あえて新ファンドを立ち上げた理由について、澤山氏は「投資しながら支援スタイルを突き詰める中で、500 Startupsと少しずつズレが起きてきた。当初は500 Startupsのノウハウを日本に持ってきたが、(米国のように)500社というよりは50社ほどに対して、1社ずつ投資する方が日本には馴染むと思った」とコメント。500 Startupsとの協議の結果、今回の形を選んだと説明した。
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