IBMは、量子コンピューティングにおける新たな節目を迎えたことを明らかにした。同社の量子システムが、これまでで最大の量子体積を記録したのだ。IBMは、「量子アドバンテージ」(量子コンピューティングの優位性)と表現する実用化レベルを2020年代には達成できると予測している。
IBMは、3月に開催されるアメリカ物理学会の会議で、この科学的偉業について発表する。同社は家電見本市の「CES 2019」で量子コンピュータの「IBM Q System One」を披露してちょっとした話題を呼ぶなど、量子コンピューティングの分野で着実な進歩を見せている。
だが、今回の発表は、テクノロジ企業の幹部が量子コンピュータを購入できるようになるのは当分先だということを意味してもいる。量子体積とは、量子アドバンテージの達成レベルを示すパフォーマンス指標だ。一方、量子アドバンテージとは、量子コンピュータのアプリケーションが従来のコンピュータよりも極めて大きなメリットをもたらす状態を意味する。
量子体積は、量子ビットの数、接続性、コヒーレンス時間によって算出される。また、ゲート操作のエラーと測定エラー、デバイスクロストーク、回路ソフトウェアコンパイラの効率性も考慮される。
IBMによれば、Q System Oneは20量子ビットのプロセッサを備え、16の量子体積を実現している。これは、現行の「IBM Q」(量子体積は8)の2倍だ。また、Q System Oneは、これまで測定した中で最も低いエラー率を示したという。
Q System Oneの進歩には目を見張るものがあるが、幅広い実用化にはまだ何年もかかりそうだ。IBMによれば、2020年代に量子アドバンテージに到達するには、量子体積を毎年2倍のペースで増やす必要があるという。量子アドバンテージの達成ペースが速まれば、実用化にかかる期間はそれだけ短縮される。IBMは2017年以降、量子コンピュータの能力を毎年倍増させている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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