2月19、20日の2日間に渡って開催された本誌主催イベント「CNET Japan Live 2019 新規事業の創り方--テクノロジが生み出すイノベーションの力」。2日目に講演を行ったコニカミノルタは、需要が縮小傾向にある複合機に頼らないビジネスの創造を目指し、新規事業専門の部署を設立。2017年には世界初の機能を持つ、ニオイ計測デバイスを開発し、クラウドファンディングで人気を集めた。同社が新規事業開発において軸としているのは何なのか、コニカミノルタ Business Innovation Center(BIC)の甲田大介氏がそのポイントを説いた。
フィルムなどを製造するコニカと、カメラ事業のミノルタを2003年に経営統合したが、2006年には両者の創業事業であるフィルム、カメラ事業を終了。2003年にコニカミノルタとして再出発を図った同社は、以降、コピー、スキャナー機能などを備えたオフィス向け複合機事業と、業務用プリンターによる商業、産業印刷関連の事業を中心に展開してきた。現在、それらの事業が全体売上の実に7〜8割を占める。
しかし、複合機事業の成熟、将来のペーパーレス化の流れもあり、「複合機に頼らず、新しい事業を作っていかなければならない」という想いから2014年度に設立されたのが、甲田氏の所属するBICという新規事業開発専門の部署だ。
コニカミノルタがもつ既存の技術資産の活用を前提とせず、既存のビジネス領域以外の分野を開拓するのが同部署のコンセプト。新規事業を進めていく上で「社内に必要な技術があれば活用するが、外に必要な技術があるなら積極的にパートナーシップを組みながらやっていく」(甲田氏)というオープンイノベーションの発想で、ベンチャーへの投資やプロジェクト単位の会社化といった選択肢も用意しながら展開しているという。
主な注力分野は「グローバルコミュニケーション」と「ライフサイエンス」の2つ。たとえばグローバルコミュニケーション分野では、コニカミノルタが海外売上比率8割のグローバル企業ということもあり、ビジネス英会話講座を法人向けに提供する「KONICA MINOLTA オンライン英会話」というサービスを提供している。また、日本人医師と外国人患者との間のコミュニケーションを支援する「MELON」という医療機関向けサービスや、業務マニュアルの作成・多言語化を支援するツール「AiLingual」を運営している。
ライフサイエンス分野では、女性の月経前の体調変化を予測し、体調の改善などを支援する「MICHICAKE」と、2017年にMakuakeでクラウドファンディングを実施し、3カ月で4800万円を集めたニオイ計測デバイス「Kunkun body」を展開している。合わせて5つの新規事業を、BIC設立から約3年間で立ち上げた。同社の新規事業は具体的にどのように進められるのか、甲田氏はKunkun bodyを例に解説した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手