森永製菓の新規事業担当がもがいた4年間--ベンチャーとの「絶望的な差」とは

 2月19、20日の2日間に渡って開催した本誌主催イベント「CNET Japan Live 2019 新規事業の創り方--テクノロジが生み出すイノベーションの力」。2日目最初の基調講演では、老舗菓子メーカーの森永製菓がなぜ、どのように新規事業に取り組んできたのか、その過程で得られた数々の「気付き」も含めて紹介し、何はともあれ「実行する」ことの大切さを訴えた。

森永製菓 新領域創造事業部 執行役員 部長の大橋啓祐氏
森永製菓 新領域創造事業部 執行役員 部長の大橋啓祐氏

変わるきっかけは、ある企業との出会いと辛辣な指摘

 森永製菓は1899年に創業して以来、ミルクキャラメルやミルクチョコレートなど日本で広く親しまれる菓子をつくってきた。そんな同社の新規事業について解説したのは、森永製菓 新領域創造事業部 執行役員 部長の大橋啓祐氏だ。創業者である森永太一郎氏が米国を訪れた際に味わった菓子に感激し、「日本の子供たちに、栄養があるおいしい洋菓子を提供したい」という思いで設立した森永だが、人々のライフスタイルの変化や流通の進歩などもあって、「食品を取り巻くマーケットはどんどん変わっている。変化に対応できない企業は淘汰される」状況になっていると同氏は語る。

森永製菓の歴史
森永製菓の歴史

 「市場が常に変化しているなかで、今まで通りにやるということは、今まで通りにいかないということ」という現代表取締役社長が抱いた危機感のもと、2014年に新領域創造事業部が設立された。ところが、部長としてその事業部を率いる立場となった大橋氏によると、メンバーは「優秀で、やる気のある人が集められた」ものの、チームとしての思考力、人脈、実行力がないという状況。自身も何をすべきかが定まらず、最初の5カ月間はほとんど無為に過ごしたという。

 それが変わる契機となったのは、事業創造やオープンイノベーションの支援などを手がける会社ゼロワンブースターとの出会いだった。当時米国でトレンドとなっていたアクセラレータープログラムやオープンイノベーションの取り組みについて話題にするなかで、「(共同作業するベンチャー企業との)NDAはどうすれば」という質問を投げかけたところ、ゼロワンブースターからは「実行できないアイデアに価値なんかない」などと一蹴される場面もあったそう。とはいえ、まずはアイデアソンにトライしてみるという形に落ち着いた。

相談したゼロワンブースターから辛辣な言葉を浴びたことも
相談したゼロワンブースターから辛辣な言葉を浴びたことも

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]