ソニーが新規事業創出プログラムを本格化--SSAPになって第2ステージへ

 ソニーのスタートアップ創出と事業運営を支援するプログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」が第2ステージに突入した。名称を「Sony Startup Acceleration Program(SSAP)」に改めたほか、2月20日、社外の新規事業支援プログラムとして東京大学と契約を結んだと発表した。

左から、ソニー Startup Acceleration部門 wena事業室統括課長の對馬哲平氏、ソニー Startup Acceleration部門 副部門長 Startup Acceleration部 統括部長兼Open Innovation & Collaboration部統括部長の小田島伸至氏、京セラ 研究開発本部システム研究開発統括部ソフトウェア研究所副所長の横山敦氏、ソニー・インタラクティブエンタテインメント T事業企画室課長(事業開発担当)の田中章愛氏
左から、ソニー Startup Acceleration部門 wena事業室統括課長の對馬哲平氏、ソニー Startup Acceleration部門 副部門長 Startup Acceleration部 統括部長兼Open Innovation & Collaboration部統括部長の小田島伸至氏、京セラ 研究開発本部システム研究開発統括部ソフトウェア研究所副所長の横山敦氏、ソニー・インタラクティブエンタテインメント T事業企画室課長(事業開発担当)の田中章愛氏

 SAPは、2014年にスタートしたソニーの新規事業支援プロジェクト。既存の事業領域外の新しい事業アイデアを集め、育成することを目的にしており、バンド部に機能を入れ込んだハイブリッド型スマートウォッチ「wena wrist」や手のひらサイズのパーソナルアロマディフューザー「AROMASTIC」など、すでに14の事業立ち上げに成功している。クラウドファンディングとEコマースのサービスを兼ね備えたサイト「First Flight(ファースト・フライト)」も用意しており、First Flightによる先行販売などを通じ、ユーザーと対話しながらの商品化を進める。

 2018年12月には、京セラがスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラムSAPに本格的に参画することを発表。ソニー社内にとどまらず、広く新規事業を支援していく姿勢を示した。

 Sony Startup Acceleration Programは、ソニーが持つアセットを活用し、ソニー内の人材からアドバイスを受けながら進めるというもの。アイデア、インキュベーション、マーケティング、エクスペンションの4段階のステージを用意し、アイデア出しから事業化、販売、拡大まで、一気通貫でのサポート体制を整える。

「Sony Startup Acceleration Program(SSAP)」の概要
「Sony Startup Acceleration Program(SSAP)」の概要

 プログラムは3カ月を最短のめどにしており、料金は「プログラムごとに異なるが、数百万円を想定している」(ソニー Startup Acceleration部門 副部門長 Startup Acceleration部 統括部長兼Open Innovation & Collaboration部統括部長の小田島伸至氏)とのこと。コンサルティング料のほか、商品化した際の売り上げの一部など、プロジェクトごとに変化するとしている。6月28日までは、「新規事業創出支援プラン1カ月お試しキャンペーン」としてインキュベーション部分を体験できる1カ月無料キャンペーンを実施。SSAPのウェブサイトから申し込みが可能だ。

 大企業、スタートアップ、大学、NPOなど、新しいものを世に送り出したい起業家を対象にしており、同日には、東京大学と学生発スタートアップの支援と、支援プログラムの共同研究を開始することを発表。これは、SSAPの事業育成の枠組みを、4月から東京大学大学院工学系研究科の社会連携講座のカリキュラムに導入するというもの。将来事業化が見込める学生のアイデアの発掘や育成をし、学生はスタートアップのための考え方やスキルを習得しながら、アイデアを事業の形にしていく一連の事業開発プロセスを習得する。

 すでに事業化されたwena wristは、エヴァンゲリオンとのコラボモデルの発売や、海外展開などを実施。子ども向けのロボットトイ「toio(トイオ)」は、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)に事業を移管し、3月20日に発売するなど、さまざまなイグジット先が用意されているのもSSAPの特徴の1つだ。

 小田島氏は「SAPは、プラットフォームサイドと事業運営サイドの2つに分かれている。これは事業が立ち上がると担当者が巣立ってしまい、ノウハウが残らないから。プラットフォームサイドを用意することで、新規事業を立ち上げるノウハウを後進に残せる。2019年はプラットフォームを標準化して社外にもご利用いただきたい」と、第2ステージへの抱負を話した。

プラットフォームサイドと事業運営サイドの2つに分かれている
プラットフォームサイドと事業運営サイドの2つに分かれている

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