ソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資会社であるMONET Technologies(MONET)は2月18日、自動運転社会の実現を見据え、次世代のオンデマンドモビリティサービスの提供に向けて全国の自治体と連携を開始すると発表した。
両者は2018年10月に新たなモビリティサービスの構築に向けて同新会社を発表。MONETでは、トヨタが構築したコネクティッドカーの情報基盤である「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」と、スマートフォンやセンサデバイスなどからデータを収集・分析するソフトバンクの「IoTプラットフォーム」を連携させるとしていた。
今回提携するのは、安平町(北海道)、仙北市(秋田県)、横浜市(神奈川県)、鎌倉市(神奈川県)、加賀市(石川県)、伊那市(長野県)、岐阜市(岐阜県)、藤枝市(静岡県)、名古屋市(愛知県)、豊田市(愛知県)、大津市(滋賀県)、川西市(兵庫県)、福山市(広島県)、府中市(広島県)、東広島市(広島県)、嘉麻市(福岡県)、菊池市(熊本県)の17自治体。
横浜市、豊田市、福山市では2018年度中にオンデマンドバスの実証実験が行われ、まずは2月27日から豊田市で実証実験を開始する。豊田市では、同社のオンデマンド型交通向けの配車プラットフォームを活用し、オンデマンドバス「おばら桜バス」を運行する実証実験をする予定。
同実験では、豊田市小原地区に住む一部の人にバスの乗客として参加してもらい、同プラットフォームを活用したオンデマンドバスの運用方法や利便性を検証する。おばら桜バスは、2009年4月から小原地区内を運行。乗降するバス停や日時、人数を指定して利用できるオンデマンドバスとなっている。これまでは電話のみで予約を受け付けていたが、同プラットフォームの導入により、電話に加えて、スマートフォンから専用アプリを利用して予約できるようになる。
バス車内にはタブレットが設置され、予約状況に応じた最適な運行ルートをドライバーに提示する。バスの運行管理者は、専用の管理者画面から運行状況を確認可能。豊田市は実証実験の結果を踏まえて、市民により便利に使ってもらえるモビリティサービスとして、オンデマンドバスの利便性を向上させるという。
このほか、MONETは三菱地所とも連携し、丸の内エリアを発着地点とした「オンデマンド通勤シャトル」の実証実験を開始する。送迎エリアは、吉祥寺、豊洲、川崎、上野、等々力、赤坂エリア〜丸の内エリア。対象者は、大手町・丸の内・有楽町エリアで三菱地所が運営・管理するビルに勤務する人(野村総合研究所、古河電気工業の従業員など)。
同実験では、2月26日〜3月22日の間(休日を除く)、東京・丸の内エリアに勤務する人を、スマートフォンアプリで選択した場所から勤務地付近まで送迎し、サービスのニーズやオペレーションの検証をする。
Wi-Fiサービスの提供や膝上テーブルの設置などにより車内をオフィススペースとして利用できるようにするほか、保育施設の利用者が子供と快適に通勤できる空間を確保する。また、車内で軽食を販売するなど、車内空間を活用した新たなサービスの可能性についても検証する。なお同実験は、「ビジネスパーソン」向けと「ワーキングパパ・ママ」向けの2つを実施する。
両社はこの実証実験の結果などを踏まえ、今後の自動運転時代を見据えて、通勤に加えて、商業施設や空港への移動など、さまざまなシーンにおけるモビリティサービスの事業化について検討を進めるとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス