富士フイルムが、プロジェクター市場への新規参入を発表した。2月13日、独自の「屈曲型二軸回転機構レンズ」を搭載した「FUJIFILM PROJECTOR Z5000」(Z5000)を発表。「今まで設置を諦めていた場所に置けるプロジェクター」として、新規事業に乗り出す。発売は4月。想定価格は100万円で、レンタルスペースや空間を演出する施工業者など、幅広く販売していく方針だ。
Z5000は、上・下・前・後・左・右の6方向に動かせる屈曲型二軸回転機構レンズが特徴。20枚以上のレンズと2枚のミラーなどから構成され、レンズの回転だけで映像の向きを縦と横に切り替えられる。本体を動かさずにさまざまな方向へ投写できるほか、75cmの距離から100インチの大画面映像を映し出せる短焦点投写が可能だ。
上下82%、左右35%のレンズシフト機能も備え、広い範囲で映像の位置を調整できるため、屋外での大画面投写や狭いイベントスペース内での設置にも対応。富士フイルム 光学・電子映像事業部長の飯田年久氏は「プロジェクターの潜在需要はもっとあるはず。市場の拡大を妨げているのは、設置スペースの制約があるから」とプロジェクター市場を分析する。
プロジェクター市場はここ数年、年間の総需要が約780万台に落ち着いている。設置済みのプロジェクターからのリプレイス需要がほとんどで、新規導入が難しい環境だという。
富士フイルムでは「置きたくても置けなかった場所に置ける。大画面投影ができる」(飯田氏)ことで、プロジェクターの設置場所は大幅に拡大すると予測。屋外での大画面投影は、今まで櫓を組むなど大がかりな設備が必要だったが、Z5000ではレンズシフト機能により、高さを必要とせず投写ができるなど、簡単設置も打ち出す。
サイズは、高さ108mm×幅470mm×奥行き375mmで、重量約12kg。0.65型のDLPチップを搭載する。光源はレーザーダイオード。明るさ5000ルーメン、コントラスト比1万2000対1を確保する。
富士フイルム 代表取締役社長・COO助野健児氏は「富士フイルムは写真フィルムの国産化やカメラのデジタル化、フィルム需要激減への対応など、いつの時代も挑戦することで未来を切り開いてきた。平成の時代は第2の創業を掲げ、経営改革の断行、医療、化粧品などヘルスケア事業の展開など、多角化した会社に生まれ変わった。変化に対応する企業から、変化を予測して備える企業へと変化を遂げられた。さらに進化するためには変化を作り出す企業にならないといけない」とコメント。富士フイルムの今後の姿勢を示した。
Z5000はプロジェクター製品の第1弾と位置づけており、今後はラインアップ展開なども視野に入れる。飯田氏は早期に100億円の規模にしたいと意気込んだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス