楽天は2月12日、2018年度通期および第4四半期決算を発表した。同社の2018年12月期の連結業績は、1兆1014億8000万円(前年度比16.6%)と初めて1兆円の大台を突破。また、IFRS営業利益は1704億2500万円(同14.1%増)と、こちらも過去最高を記録した。
FinTech領域では、楽天カードをはじめに多くのプロダクトが堅調に推移。楽天カードの取扱高が7.5兆円、楽天銀行口座数が700万口座を突破。連結での売上収益は4108億円(前年度比23.3%増)、営業利益が799億円(9.7%増)となった。
EC領域では、国内流通総額が3.4兆円を突破。売上収益は4268億円(同9.2%増)、営業利益は「ラクマ」や「楽天ブランドアベニュー」といった投資フェーズの新規事業、物流やロジスティクスへの投資などから613億円(同17.7%減)となった。また、その他サービスやスポーツ事業を含めたインターネットセグメント全体では、売上収益が7884億円(同15.9%増)、営業利益が957億円(同5.0%減)だった。
決済事業は、決済手段を一つのプラットフォームに統合する新「楽天ペイ」を3月18日にローンチ。楽天ポイントやクレジットカード決済、QRコード決済、楽天Edyを一つのアプリで使えるようになる。また、社内体制の大幅な変更にともない、キャッシュレス決済事業に特化した新会社「楽天ペイメント」を設立。4月より楽天ペイ、楽天Edy、楽天ポイントの運営を指揮する。
EC領域では、楽天が進める物流事業「楽天スーパーロジスティクス」の進捗を共有。現在、千葉県流山市、大阪府枚方市のほか、3月には兵庫県尼崎市に物流拠点を新設。これにより、楽天の即日配送サービスのRakuten EXPRESSでも、配送エリアの人口カバー率が19%に向上したという。これにより、全店舗統一の配送料金を2019年中に導入。細かな部分は未定としつつも、一定金額以上の買い物については配送料無料が可能となる。
2019年10月開始を目指す携帯MNO事業では、主要インフラを仮想化された無線アクセスネットワーク(vRAN)で構築すると発表。当初より5Gネイティブを想定しており、レガシーかつ独自的なものでなく、シンプルで標準的なハードウェアSKUを使用する。
クラウドベースとすることで、スケーラビリティの拡張が容易になるだけでなく、構築・運用コストを低減。ハードウェアベースの既存キャリアと比較して、メンテナンスコストは数十分の1、オペレーションの完全自動化により、1/10~1/20の人員で展開できるという。楽天では、MNO参入予算としてインフラに6000億円の投資を発表しているが、こうした“現代的”な手法によって大幅なコスト減を実現しているようだ。
同社では2月2~3日に、完全仮想化クラウドネイティブネットワークによるエンドツーエンドでの接続に世界で初めて成功。通常3~4年かかるネットワーク構築を、クラウド技術を活用することで参入準備から8カ月で成し遂げた。
なお楽天では、クラウドベースの無線ネットワーク構築にあたり、仮想化ネットワーク技術を持つ米Altiostarと戦略的資本業務提携を締結している。KDDIへのローミングなどを含め、楽天モバイルネットワークCTOのタレック・アミン氏は、「10月のサービス開始は確実的」と順調さをアピールした。
同社代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、「技術革新のスピードが早い業界では、最後発こそ参入メリットがある」とし、5Gかつクラウドネイティブのネットワーク構築のメリットを説明。さらに、「他のキャリアを見ると、われわれの領域に入ってきている」と、主要キャリアが強化しようとしているECや決済、各種サービスとポイントシステムを統合したエコシステムを長年提供する楽天の強みを強調した。
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