ダートマス大学セイヤー工科大学院とテキサス大学健康科学センター・サンアントニオ校の研究チームは、心臓の拍動による運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、心臓ペースメーカーといった体内埋め込み型医療機器の電力として活用する技術を開発した。
不整脈への対策として体内に埋め込まれるペースメーカーは、心臓の拍動を常時監視し、不十分である場合に心臓へ電気刺激を与えて拍動を補っている。電源としてリチウム電池を内蔵しているが、数年で消耗してしまう。そのため、患者はペースメーカー交換のためだけに手術を受けなければならない。
研究チームは、ペースメーカー本体から心臓へ電気刺激を送るための導線(リード)部分に圧電性を備える柔軟な樹脂製フィルムを取り付け、フィルムの一端だけを固定する構造を考案。フィルムは心臓の拍動に反応して動き、電力を発生させた。
実験では、1Hzの周期で電圧0.5V、電流43nAの出力が得られたという。さらに、31.6mgの重りをフィルム先端に取り付けたところ、出力が1.82倍になったとしている。この発電機構を複数組み合わせれば、より大きな電力も取り出せる。
現在まだ実験段階で得られる電力は少ないが、ペースメーカーのバッテリに充電して長寿命化させたり、最終的には交換不要にしたりできる可能性がある。
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