MATRIX INDUSTRIESは4月11日、充電不要のスマートウォッチ「MATRIX PowerWatch」2機種を4月12日より発売すると発表した。
MATRIX PowerWatchは、温度差発電(サーモテクノロジ)の技術により、人間の体温で発電することで充電することなく身に着けられるスマートウォッチだ。充電不要の手軽さと高いデザイン性を兼ね備える。
2016年11月にクラウドファンディング「Indigogo」にて資金調達をし、約165万ドルもの資金調達に成功した。日本は、米国に続く2番目の資金調達先だったという。
米国の直販サイトではすでに販売し、日本への発送にも対応していた。実は、2017年度グッドデザイン賞を受賞している。今回、日本で本格展開するにあたっては、量販店での販売に加え、Amazon.co.jp、+Style、などのオンラインストアでも販売する。
いずれも、文字盤径は30mm、歩数計と睡眠計測、消費カロリー計測機能、50m防水性能を備える。アウトドアウォッチのような雰囲気で、重さは50~60g。
価格は、ナイロンストラップ付きモデルの「PowerWatch」が3万2800円(税別)、ミラネーゼストラップを装着したオールブラックの特別仕様「PowerWatch Black Ops Pack」が3万7800円(税別)。5月には上位モデルで、スマートフォンからの各種通知を知らせる機能を搭載し、200m耐水圧性能を持つ「MATRIX PowerWatch X」も4万2800円(税別)で販売予定だ。
日本で本格展開するにあたり、MATRIX CEOのAkram Boukai(アクラム・ブカイ)氏とCTOのDouglas Tham(ダグラス・タム)氏が来日し、発表会を開催した。
「われわれが手がけたのは、部品の開発ではなくてトータルのシステム。熱から発電する全体のシステムとして取り組んだ」(タム氏)と説明した。
MATRIX INDUSTRIESの特長は、「温度差を有する材料の両端間には電位差(起電力)が生じる」という「ゼーベック効果」と呼ばれるしくみを利用し、熱を電気に変える技術だ。
発電のためには温度差が必要になる。つねに温度差を発生させるエンジニアリング手法が特長で、PowerWatchの場合は、身に着けていればどんな暖かい場所でも表面の温度とケースの温度は1度以上の差が出るように設計しているという。
また、発生した電気を内蔵しているリチウムイオンバッテリに蓄積していくことで、約数カ月はデータを保持し、時計として動き続けるという。また、バッテリを使い切らないようなしくみを持ち、「使い方によっては10年以上持つと考えている」と説明した。
ブカイ氏は、「世の中はムダな熱であふれている」と語る。人間は、通常でも20度の外気の中では約100ワットの発電ができ、アスリートなら1キロワットまで可能だと見る。
さらには、自動車や火山などさまざまな熱を応用できるとし、日本では温泉に可能性があるという。
「改めて言いたいのは、時計の会社ではない。われわれの技術はあらゆる分野に使える。IoTデバイスにも搭載できる。大分にいって温泉の勉強をしてくる。大きなムダな熱が発生しており、かなりのエネルギーがとれるのではないかと期待している。理論上の計算では、10キロワット以上と想定。これはひとつの温泉旅館の電力を十分供給できる量」(ブカイ氏)と日本での新たな展開に期待を寄せた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」