偽の友人を販売しても割に合わない。
ニューヨーク州のLetitia James司法長官は米国時間1月30日、米企業Devumiとの間で先例となる和解に達したと発表した。Devumiは、ソーシャルメディア上で数百万件にのぼる偽の「いいね!」やリツイート、フォロワーを販売したとThe New York Times(NYT)が報じて以降、苦境に立たされていた。
これら数百万のボットアカウントは、Twitter、YouTube、LinkedIn、SoundCloud、Pinterestで野放し状態だった。司法当局によると、一部の偽アカウントはソーシャルメディア上で、実在する人々の写真を盗み出していたという。また、Devumiはソーシャルメディアでの不正なエンゲージメントを著名人やミュージシャン、アスリートらに販売したとも当局は述べた。こうした行為は、意見や人物が実際より多くの支持を集めているように見せかけるものだ。
ソーシャルメディアにおける偽のエンゲージメントの販売や、盗み出したIDの利用を法執行機関が違法と認定したのは、今回が初めてとなる。
James氏は声明の中で次のように述べている。「ボットなどの偽アカウントは、ソーシャルメディアプラットフォーム上に蔓延しており、実在する人々のIDを盗み出して詐欺を働くことも多い」「今回の和解によって、誰であろうと詐欺やなりすましから利益を得ようとする者は法を犯しており、責任を問われるという明確なメッセージを送ることになる」
Twitterの広報担当者は、Devumiの手口が初めて明らかになった2018年に同社が出したコメントに言及した。Twitterは当時、ツイートで次のように述べていた。「本日のNYTによる記事で指摘されているような、当社や他のプラットフォーム上でDevumiが使った手法は当社のポリシーに違反しており、容認できない。われわれは、Devumiや同社のような企業を阻止するべく取り組んでいる」
FacebookやTwitterなどのテクノロジ大手も詐欺対策で問題を抱えている。国家もDevumiと同じような戦略を使って虚偽の情報を拡散させ、政治的混乱の種をまいている。Facebookは、1月30日に行われた決算発表の電話会見で、偽アカウントは同社の月間アクティブユーザーの5%を占める可能性があるとした。これは約1億1600万件のアカウントに相当する。
問題は偽アカウント自体ではなく、偽アカウントを利用してネット上で影響力を高めることにある。司法当局の捜査で、Devumiのケースはこれに該当すると判断された。当局によると、ソーシャルメディアでのエンゲージメントを偽装することで、フォロワーが何を購入しようと思うかや広告主が誰のスポンサーになろうと思うかといった判断に影響を及ぼせる可能性があるという。
顧客の中には、購入したフォロワーが実在すると考えていた人もいた。Devumiはこの2年間に約1500万ドル(約16億円)を売り上げ、急成長していた。
Twitterでのフォロワー最大50万人がわずか3997ドル(約44万円)で購入できたほか、Devumiは「いいね!」とリツイートをパッケージにして年間最大228ドル(約2万5000円)で販売していた。
Devumiは、売り上げが大幅に減少したことから、2018年9月に営業を停止した。和解条件に基づき、同社は同様の行為を繰り返すことを禁じられる。
Devumiはまたニューヨーク州に対し、司法当局の捜査にかかった費用や経費5万ドル(約550万円)を支払う必要がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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