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タイの「ジャパンエキスポ 2019」を現地レポート--会場で活躍する日本人アーティストも

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 1月25日から3日間に渡ってタイ・バンコク市内で開かれた「Japan Expo Thailand 2019」(以下、ジャパンエキスポタイランド)。アジア最大級といわれる同イベントだが、土曜日のメインステージではAKB48が出演し、大ヒットナンバー「恋するフォーチュンクッキー」を大合唱するなどして、例年以上の盛り上がりをみせた。

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ジャパンエキスポタイランドの会場内ポスターに起用されているのは、海外でも活躍する日本人アーティスト・Hiroyuki Mitsume Takahashi氏の作品
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AKB48の皆さん。花柄の衣装に身を包みバンコクのファンの声援に応える

 邦人有名アーティストの音楽ライブ、日・タイで活躍する美術家のライブペインティング、コスプレイベントの開催など、日本文化に関心の高いタイの若者や駐在する日本人が楽しめるイベントとなった。日本の企業も多く出店し、飲食業や旅行業、鉄道業、地方自治体などのPRブースが設置され、タイ人エンドユーザーとの交流も盛んに行われていた。

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阿波踊り Tokushima Awaodori showの皆さん
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タイと日本を行き来する漫画家のタム君。公式Tシャツにタム君の描くキャラクタ―「マムアンちゃん」が起用された。会場内の大きなキャンパスに、道行く人の似顔絵を描いてくれるコーナーが設置され、マム君のファンで長蛇の列ができた

 また、2019年は初めて、ビジネスブース「B2B&NETWORKING ZONE 」が設置され、バンコクにゆかりのある各国のビジネスパーソンの交流の場がもたれた。同ブース内では、日本の総務省が主催する異才発掘プロジェクト「異能vation」のファイナリスト異能ベータ―によるプレゼンテーションも実施された。

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今回初めて設置されたB2B&NETWORKING ZONE 地元のテレビ局の取材に応じるHM Entertainment社の子安祐樹氏

 ジャパンエキスポはもはや、日本のエンタメ各コンテンツを紹介する祭典のみならず、科学研究やビジネスの分野でも日本と開催国とを繋ぐ、いわば「プラットフォーム型のイベント」として大きく進化しつつあるともいえるだろう。

日本人によるライブペインティングも

 ここでは、ジャパンエキスポタイランド会場内で出会った、世界で活躍する日本人アーティストHiroyuki Mitsume Takahashiさん(以下、ミツメさん)へのインタビューをお届けする。ミツメさんがジャパンエキスポタイランドに出場するのは2回目。前回出演した2018年4月には、日本から持ち込んだイラスト集が完売するなど好評を博したという。

ジャパンエキスポタイランド出演アーティスト:Hiroyuki Mitsume Takahashiさん
ジャパンエキスポタイランド出演アーティストのHiroyuki Mitsume Takahashiさん。背後の作品は制作中のライブペインティング。描く手を止めて、取材に応じていただいた。作品制作に欠かせないBGMを再生するスピーカーからはEDMが流れていた

 今回も前回と同様に、会場内でライブペインティングや、デジタルで描かれたイラストの物販が行われたほか、ファッションブランド「MUGEN」とのデザインコラボレーションとアパレルの販売、さらに「いすゞ自動車」のボディにミツメさんのイラストを配した乗用車が展示された。

 また、1月25日14時から屋外に設置されたメインステージで、その日に出演した日本人ミュージシャン、タレントをファッションモデルに起用した「Hiroyuki Mitsume Takahashi×MUGEN」のファッションショーが開かれ、地元タイの中高生や女子大生を中心に注目を集めた。

 ミツメさんの絵画を買い求めた地元の中学生Firstさん(13歳)は、「カラフルな配色がとても素敵。自分も絵の具を使って時々絵を描くが、こんな描き方があるのかと驚いた。内臓のモチーフは最初びっくりしたけど、逆にとてもこの絵を引き立てていると感じる。とにかく、とても好きな絵なので自分で選んだ。お金は一緒に来ていたお父さんに出してもらった」と話した。

Hiroyuki Mitsume Takahashiさんインタビュー

きっかけは「ヒップホップ」--ミツメさんが語るアート

 会場内でミツメさんに、イラストを描くようになったきっかけや、海外におけるアートへの印象などについて聞いた。

――ミツメさんはどのようなきっかけでイラストを描かれるようになったのでしょう。

 もともと自分が何か発信しよう表現しようというきっかけになったカルチャーはヒップホップです。いわゆるヒップホップの4大要素といわれるMC、DJ、ブレイクダンス、グラフィティを順番に一通りかじってみて、一番楽しかったのがグラフィティアートだったんですよね。

――ヒッポホップが今のイラストのお仕事の原点なんですね。もう少し詳しく当時のことを教えてください。

 基本的にヒップホップの文化って、ひとつでも人と違う部分を出したほうがかっこいい、むしろ自分の表現がないということはそこにいないということに等しいんです。何か創り出している人は、それがどんな表現であっても個としてリスペクトされる。とにかくそういう風土があるので、それまで周りの目を気にしているタイプだった私にはカルチャーショックでもあり、ヒップホップシーンに身を置くことは色々な意味で闘いの連続でした。地元の名古屋をはじめ、いくつかのライブハウスやクラブで絵を描いてきました。結構派手に描き散らしてきた場所もあるので、今でも出入り禁止のハコがあります(笑)。

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――今は主にPCを使ってお仕事をされているようですが、グラフィティを描いていた頃と何か違いはありますか。

 今はかなりの時間をPCの画面に向かって絵を描いています。私にとってPCの画面で描くことは、新しいツールでもあるのでとても楽しいのですが、裏を返せばある種「作業」のような味気ない部分もあるのです。

 ライブペインティングをしている時は、言葉にまとまらない気持ちをどんどん絵の具にのせてその場で表現しきれる感じがあって、ノっている時は本当に無我夢中で描いてそこらじゅうはみ出ることもよくあります。今日もこうして描かせてもらいましたが、頭の片隅で会場を綺麗に保つことを考えて描いたので、出力は60%くらいかな(笑)。

――ミツメさんにとってライブで描くということは原点に還るということでもあるのでしょうか。

 そうですね。どちらかというとライブで描いている自分が本当で、PCに向かっている時はその上澄みとかエッセンスをパズルのように組み合わせているだけに過ぎないなと思う時さえあります。だから、私自身の創作に対する情熱を維持し続けるためにも、本当は今以上にたくさんライブペイントはやっていきたいです。バンコクにもまたイベントで呼んでほしいですし、クラブとか人が集まる場所も開拓したいですね。

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――バンコクのお客さんの反応はいかがですか。

 先ほども中学生くらいの子が私の絵を買ってくれたり、昨日メインステージであったファッションショーでもたくさんのお客さんが囲んでくれたりと、私の表現を気に入ってくださっている方は多い印象を受けます。

 バンコクに限らず、海外に来ると特に感じるのですが、アートを評価する時に、特に他人の目を気にしていないというか、自分が気に入ったらそれはそれという態度なのが面白いですね。世界中がSNS全盛で、常に自分の評価や価値観が他人の目にさらされる時代だというのに…。日本にいるとお国柄なのか、特にその人の目を気にする同調圧力をひしひしと感じるので、海外の反応は「あっ、人の目なんて気にしないんだ」ということが、なおさらヴィヴィッドに映りますね。

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――デジタルデバイスとアート/表現について、ミツメさんの作品が好きな方たちにメッセージをお願いします。

 アナログに還ろうというつもりは全くないのですが、私は自分のアイデンティティを確立するような原体験をインターネットが今のようなインフラになる前に持つことができた世代です。たまたまヒッポホップのカルチャーに出会い、自分自身の中にある表現したい気持ちと出会い、環境を選んで表現する力に変換して、ツールも色々と試してきて、現在に至ります。デジタル空間やツールはどんどん増えていて面白いと感じています。現実空間だけでなく情報空間も広がっていて、コミュニティもたくさんあるし、海外にもフィールドは広がっていて昔よりずいぶんハードル低いですし。

 私のアートと出会った人は、まずは自分の「個」としての表現を追求していく力を蓄えて欲しいと思います。そして、自分のフィールドと思える場所を1つでも探して、その人らしい表現を追求していく力に変えていってもらえたら…。そう願っています。

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