「操作ボタンは多い方がいい」--日立がタイで実践する現地に寄り添う商品戦略

現地の人気女優をCMに起用、”高級感”を演出

 日立コンシューマ・マーケティングのタイの販売会社であるHitachi Sales (Thailand), Ltd.(HST)は、同社が1968年の設立以来、50周年を迎えたのにあわせて、タイ国内におけるキャンペーンを開始すると発表した。

 1月29日に、タイ・バンコクで行った記者会見で挨拶したHST社長の岩永正徳氏は、「今回のキャンペーンを通して、お客様が家電製品を思い浮かべるときに、『HITACHI』の製品を、最初に想起するブランドでありたいと考えている。お客様のライフスタイルが多様化するなか、お客様に寄り添い、ニーズを満たす製品をこれからも提供していきたい」と抱負を述べた。

HST社長の岩永正徳氏
HST社長の岩永正徳氏

 今回のキャンペーンは、「Hitachi:Upgrading Happiness」をコンセプトに、プレミアム層をターゲットに展開。日立ブランドの製品を通じて、プレミアム層が求める「Healthy Life」の実現に貢献するのが狙いだとしている。

 タイで人気の女優であるBella(ベラー)さんを起用。テレビCMやウェブ広告、屋外広告、店頭展示を通じて、HITACHIブランドの製品が持つ「高級感」を訴求し、新たなイメージづくりに乗り出す。

 「日立の家電製品は、使い勝手の良さや、親近感という点で、高い評価を得ている。これに加えて、今後は、高級感のイメージづくりにも取り組んでいきたい」という。

 キャンペーンに起用するベラーさんは、2018年にタイで大ヒットしたテレビドラマ「Bupphesanniwat(ブッペサニワート)」に主演。タイ国内で人気が高い女優の1人だ。「Bellaさんが持つ、プレミアム、モダン、ヘルシーライフスタイル、イノベーションといったイメージが、キャンペーンのコンセプトに合致している」と、同社では起用の理由を語る。

宣伝キャラクターにはタイの人気女優Bellaさんを起用
宣伝キャラクターにはタイの人気女優Bellaさんを起用

タイのニーズを汲み取り洗濯機のデザインを一新

 日立はタイ市場において、冷蔵庫では、金額シェアでトップを獲得。洗濯機では、日系メーカーでは金額ベースでトップシェアとなっている。また、日立グループの家電事業における海外事業の売上構成比は約2割となっており、海外売上高では、アジアが約5割、中国(台湾含む)が約3割となっている。

 「タイはアジアのなかで、最も重視する市場のひとつ」とし、今回のキャンペーンをきっかけにタイにおける家電販売の拡大を目指す考えだ。

 さらに、2017年4月には、日立アプライアンスが、グローバル商品開発センタを、タイの冷蔵庫や洗濯機などの家電製造拠点であるHitachi Consumer Products(Thailand)内に設置しており、タイ国内において、開発、マーケティング両面に注力する体制を整え、市場のニーズを捉えた展開も加速。製品開発においても成果をあげつつあるという。

 たとえば、タイをはじめとするアジアの市場ニーズを反映した製品として、2018年10月に発売したタテ型洗濯機がある。

 グローバル商品開発センタが、タイのバンコクやベトナムのホーチミンで市場調査を行った結果、これらの地域では、「ボタンがたくさんある=こだわりを持って使える」といった認識が強く、操作ボタンを数多く搭載した製品が好まれる傾向にあることがわかったという。日本のようになるべくボタンの数を少なくし、シンプルなデザインにするのとは大きな差がある。

 そこで、新たに製品化したタテ型洗濯機では、従来は、フタを閉じた状態では使用頻度の高いボタンだけを配置し、フタを開けると細かい操作が行えるパネルを用意していたデザインを一新。多くのボタンを配置した操作パネルを洗濯機のフタの上に用意。それでいて、各洗濯コースがワンタッチで選択できるタッチコントロールパネルを採用したことで、操作性を高めたほか、本体手前側の操作パネルがなくなったことから、低い位置から衣類の取り出しができるようになるというメリットも生まれた。今後の開発のなかでは、各地域の生活習慣や特性に合わせた専用コースも採用する予定だという。

タテ型洗濯機のデザイン変更前。フタを閉じた状態では使用頻度の高いボタンだけを配置していた
タテ型洗濯機のデザイン変更前。フタを閉じた状態では使用頻度の高いボタンだけを配置していた
タテ型洗濯機のデザイン変更後。多くのボタンを配置した操作パネルを洗濯機のフタの上に用意
タテ型洗濯機のデザイン変更後。多くのボタンを配置した操作パネルを洗濯機のフタの上に用意

 こうした現地のニーズにあわせたモノづくりも、アジア市場における同社の新たな取り組みのひとつとなっている。

 タイのグローバル商品開発センタでは、2人の日本人マネージャーと、7人のローカルスタッフで構成。先に触れたタテ型洗濯機のほかに、冷蔵庫や掃除機、炊飯器の製品化においても貢献。今後、日立独自の機能を搭載した大型冷蔵庫の製品化などにおいても、現地のニーズを取り込んでいくという。

 こうしたニーズを捉えた製品展開とともに、新たなキャンペーンとの組み合わせによって、日立は、タイにおける家電の販売に弾みをつける考えだ。

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