ビジネスチャット「direct」とチャットボット「daab」を提供するL is B(エルイズビー)は1月23日、導入企業による最新事例の紹介や情報交換を目的としたユーザーイベント「direct User Conference 2019」を開催した。同日には、同社代表取締役/CEOの横井太輔氏が登壇し、directを中心とする今後のプラットフォーム構想を語った。
2014年10月にリリースされ、5年目に突入したdirect。当時はビジネスチャットという概念自体がほとんど存在していなかったが、いまでは約3割の企業が何らかのチャットツールを業務で導入しているとする、伊藤忠テクノソリューションズの2018年の調査結果を紹介し、チャットツールが当たり前の世の中になってきていると横井氏は話す。
SlackやChatwork、LINE WORKSなど、各社からさまざまなビジネスチャットツールが提供されているが、directならではの強みは3つあるという。1つ目は「現場と社内をつなぐ」こと。建設や工事の現場と企業内の社員をつなぐツールであることにこだわっており、現場の写真や動画を一括管理できる「Photo View」機能や、外部の相手と安全に秘匿性を持ってやりとりできる「Guest Mode」機能などを実装している。
2つ目が「顧客の要望を反映する6週間ルール」。実際に現場で使った顧客からの要望をもとに機能開発し、6週間後には実装できるようにしている。ここから、複数のチャットルームを同時表示できる「Multi View」や、QRコードログインなどの機能が生まれたそうだ。
そして、3つ目が「チャットボット」。同社では、directを公開したわずか2カ月後の2014年12月からチャットボット開発環境「daab SDK」を提供しており、「日本で一番早くチャットボットを商用化した会社だと思っている」と横井氏は胸を張る。最近では、2018年5月に西日本旅客鉄道(JR西日本)に、遺失物をチャットボットで自動受付する「お忘れ物チャットサービス」が正式に採用され、すでに乗客からもポジティブな声が届いているという。
directはこの4年強で導入企業を増やし続けており、2018年12月時点で約1500社に採用され、過去3年間で平均120%の成長を達成している。また、同社が特に重視しているのが月間アクティブユーザー数で、年平均165%成長しており、PCのみでも1日に10万人に利用されているという。
同日には、横井氏から新たなプラットフォーム構想も語られた。これまでも、サイボウズのグループウェア「サイボウズガルーン」や、ブイキューブのテレビ会議システム「V-CUBE」などと連携しているが、これはあくまでもチャットボットでの連携。今後は、チャットボットなしに外部サービスと直接連携できるようにAPIを提供するという。
すでに、図面管理・情報共有システム「SpiderPlus」、BIダッシュボード「MotionBoard」の2サービスとの連携が決まっていることも明らかにされた。さらに、同社が提供するチャットボットベースの社内FAQツール「AI-FAQボット」とも春頃に連携するという。
横井氏は外部連携に続けて注力するテーマとして「IoT」を挙げ、3月末から現場内情報周知ツール「directサイネージ」を提供することも明らかにした。directを使って現場に設置された複数のモニターに情報を周知できるサービスで、テキストや写真、動画、音声などによって、現場の作業員に対して的確に情報を伝えられるようになるとしている。多言語にも対応するため、外国人の作業員にもスムーズに情報を伝達できるという。病院や保育園、空港などでの活用についても可能性を模索していきたいとした。
2019年に同社が挑戦するテーマは「お客様に感謝される」。顧客のことを徹底的に考え、要望のある「Android写真加工」「ノート」「掲示板」「いいね」「オリジナルスタンプ」「ビーコン」「タスク管理改善」などの新機能を早急に実装していきたいと横井氏は意気込みを語る。ただし、1日10万人が利用するサービスであることから、積極的に機能追加しつつも、安定稼働させ続ける体制も維持していきたいとした。
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