TATERUは12月27日、8月31日に公表した、顧客の預金残高データの改ざんについて、特別調査委員会から調査結果報告書を受けたことを発表。その詳細と今後の対応を明らかにした。
顧客の預金残高データの改ざんは、TATERUの従業員が顧客から提供を受けた預金残高データを改ざんし、実際より多く見せて西京銀行に提出し、融資審査を通りやすくしていたというもの。これに対しTATERUは「誠に遺憾ながら、そのような事実があった」として改ざんがあったことを認めていた。
調査結果報告書によると、預金残高データを改ざんする、「エビデンス(預金通帳、口座残高証明書、インターネットバンキングやインターネットによる証券口座の画面表示等、顧客が保有する資産の金額を示す証憑)の改ざん」は、営業部長と部長代理を中心とする合計31名で行われていたとのこと。
エビデンスのデータをPCに取り込み、JPEGやTIFFに変換した上で、画像編集ソフトを使用して数字を切り貼りし、預金残高を書き換えていたという。エビデンス改ざんが実行された数は、成約棟数2269件のうち350件(調査期間:9月4日から12月26日まで)だったとしている。
このほか、複数の金融機関の口座を保有している顧客に対し、一方の銀行口座の残高についてエビデンスの作成(通帳残高部分のコピーや画像データ化)を依頼し、その後、他方の当該預金を自己が保有する金融機関の口座へ送金させて、その着金後の口座残高のエビデンスを作成するよう求め、双方の口座残高の写しをエビデンスとして融資を申請する金融機関に提出する「口座間移動」や、営業担当者が、顧客ではない他人の預金通帳の残高が記載されたページの写しを、顧客のエビデンスとして流用することにより、当該顧客が自己資金を保有するかのように水増しする「他人預金通帳写しの差し替え」といった、不正行為もあったという。
TATERUでは、前年の成約棟数に150~200棟を加算し、年間の販売棟数を設定していた。これに対し、営業担当者の間では、販売目標を達成するには、自己資金が少ない顧客とも契約を締結しなければならないような状況に陥っていたという。しかし、経営陣が営業部長以下の状況を把握しておらず、現場の状況を踏まえた販売目標の見直しができなかったこと、成約1件ごとに歩合給が支払われる給与体系になっていたことなどが、エビデンスの改ざんが行われるようになった背景と、調査委員会は結論づけている。
調査委員会は、今後の再発防止策として、(1)業務フローの変更、(2)契約適合性手続の厳格化、(3)業務モニタリング、(4)コンプライアンス遵守体制の見直し、(5)内部通報制度の充実――を挙げており、加えて、(1)企業風土改革、(2)コンプライアンス委員会の拡充、(3)コンプライアンス部の創設、(4)業務執行に関わる社外取締役(監査等委員以外)の選任・任命、(5)ハラスメント防止委員会・窓口の活性化――を提言している。
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