12月11日~12月17日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。
Appleはこれまで、iPhoneのプロセッサ、Bluetoothチップ、Macに搭載されるセキュリティチップなどを自社開発している。iPhoneのプロセッサに含まれるグラフィックスチップも内製化し、また機械学習向けのニューラルエンジンも発展させている。また2018年には電源管理技術のライセンスを受け、これも自社設計しようとしている。
iPhoneのプロセッサやMacのセキュリティチップは、Apple製品の競争優位性の土台を作り上げる上で重要な役割を果たしている。たとえば毎年、同じiPhoneサイズのiPhoneのバッテリー容量を減らしながらそれまでと同様の持続時間を維持しているのも、iPhoneのプロセッサの性能と省電力性のバランスをとり、またそのためのソフトウェア開発を併せて行っているからだ。
Macについては、Windows PCと同じIntelチップを採用しているため、性能については横並びで、Macは性能に対して割高という評価が定着してしまった。しかしT2チップの登場で、起動やディスクへの書き込みで高いセキュリティ性能を発揮するようになっただけでなく、ビデオの高圧縮エンコードの高速化も実現するなど、Windows PCにはない価値を、自社設計のチップで実現した。
Appleとしては新しい製品カテゴリとなるウェアラブルの実現にも、自社でのチップ開発が大きく貢献している。特にAirPodsは2016年に発売した製品だが、2年たった今も、完全ワイヤレスヘッドフォン市場でトップの販売台数を誇っている。
iPhoneとの簡単なペアリングや、同じApple IDでログインしているApple製品でもペアリングなしで使用できる点は、未だに崩されていない優位性となっている。これも、Appleが設計したワイヤレスチップW1とAシリーズチップの連携によって行われている。QualcommもTrueWireless PlusというSnapDragon 845と連携できるBluetooth機能を盛りこんだが、Appleが実現してから技術を公開するまで2年かかった。
チップ開発にはこうした数年単位で製品化に影響を与えるアドバンテージを得る旨みがあり、Appleが高速モバイル通信においても、同様のアドバンテージを取りに行く可能性を否定できない、と考えるのが自然だ。
4G LTEの次、5Gの世界に影響を与えることは間違いなく、裏を返せば先進国において半数を占める勢力であるiPhoneが、Appleのモデム完成まで5Gをサポートしない可能性にもつながる。もちろんAndroidスマートフォンは先に5Gスマホをリリースしてくるだろう。しかし先進国を中心としたモバイルキャリアは、半数のAndroid勢力のうち、最新モデルを手にするごく一部の人たちのためだけに5Gサービスを拡充するなら、iPhoneの5G対応に合わせたいと考えるのではないだろうか。
アップル、通信モデムチップの自社開発を計画か(12/13) アップル、中国での旧「iPhone」販売禁止を受けソフトウェアを更新へ(12/17)Appleは1月、米国内に新キャンパスを建設する計画を明らかにした。投資額は今後5年間で300億ドルにのぼり、この原資となるのが米国外に滞留する資金を税金380億ドルを納めて米国への環流させたものになる。5年間の米国への経済効果を3500億ドル(約39兆円)と試算する。
シアトル、サンディエゴ、カルバーシティ、ピッツバーグ、ニューヨーク、ボルダー、ボストン、ポートランドといった各都市でも数百人から1000人を超える規模での雇用を計画している。これらの都市を見ると、Amazon、Microsoft、Qualcommといった競合の本社拠点も含まれる。
計画の背景には、Appleのビジネスの多様化によってより多くの人材が必要な点が挙げられる。また、人材流出を防ぐ側面も考えられる。
生活コストの高騰でシリコンバレーを離れたいと考えている人の増加が背景にあり、社員の引越先として人気のある都市の拠点を拡充することで、転職ではなく転勤を可能にし、貴重な人材を他社に採られないようにする狙いもあるだろう。
特にオースティンは今回の新キャンパスによって、クパティーノに次ぐ1万5000人規模へと拡大する見込みだ。
アップル、テキサス州オースティンに新キャンパス建設へ--約1100億円投資(12/13)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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