2018年に買ったアップル製品、1年間を振り返る--松村太郎のApple製品一気読み - (page 2)

ラインアップが明確化したiPad

 ここからは購入を見送った2018年のApple製品の紹介となるが、あるいは年明けすぐにでも手に入れそうなのが、iPad Pro 12.9インチだ。筆者は2017年に10.5インチのiPad Proへと新調し、取材の全てと原稿の仕事の半分ほどをiPadで行うようになった。

11インチはサイズそのまま大型化。12.9インチはディスプレイそのままボディを小型化した
11インチはサイズそのまま大型化。12.9インチはディスプレイそのままボディを小型化した

 いわば、サブノート型PCとしてiPad Proを活用しているようなイメージに近い。しかし12.9インチモデルを検討していると言うことは、その前提すら変わりそうだ、ということだ。

 iPad Proは2018年に完全なモデルチェンジを行った。iPhone XRのようなTrueDepthカメラと液晶による縁なしディスプレイLiquid Retinaの構成となった。またApple Pencilはワイヤレス充電方式となり、iPadの側面に専用の充電用パッドが備わった。

 そして、A12X Bionicプロセッサは、MacBookシリーズ匹敵するほどの性能に到達しており、Adobeが2019年にPhotoshop CCをリリースするなど、iPadが主役として活躍するコンピューティング環境もイメージできるようになってきたのだ。

 iPadがメインマシンの座に納まると言うことは、ユーザーにとっては大きな発想の転換のようにも聞こえるが、Appleは2年以上前から、その転換に着手している。

 2016年に9.7インチiPad Proをリリースした際、6億台ともいわれる5年以上経過したPCのリプレイス需要をあて込んでいることを明らかにしているし、2018年のiPad Proの紹介でも「世界で最も販売台数が多いノート型PC」と位置づけたことからもわかる。

 筆者が12.9インチのiPad Proに乗り換えるかどうかは、コンピュータを使う生活や仕事のスタイル自体を大きく変化させるかどうかという、大きな判断が伴っているのだ。

 また2018年3月にシカゴで発表された第6世代iPad 9.7インチモデルは、349ドル(教育向けには299ドル)という低価格を維持し、引き続き学校や企業への導入を後押ししている。

 教育向けにはプログラミング学習カリキュラムのEveryone Can Codeに続き、クリエイティブ学習カリキュラムとなるEveryone Can Createを提供しはじめた。企業にはIBMから始まった提携を、Cisco、SAPなどの主要ビジネスベンダーへと拡げ、今年ついにSalesforce.comが加わった。

 このように、iPadをいかに使うか、という部分まで含めて、Appleは提案力を強めていることが分かる。

T2が光るMac

 2018年のMacは、7月のMacBook Proのアップデート、10月のMacBook AirとMac miniのアップデートが行われた。今年はiMacシリーズとMac Proの刷新はなかった。

MacBook Pro13インチモデル、15インチモデル
MacBook Pro13インチモデル、15インチモデル

 MacBook ProとMacBook Airには、改善された第三世代バタフライキーボードとT2チップが搭載され、Mac miniにもT2チップが入った。T2チップは、Touch Bar搭載のMacBook Proに備わっていたT1チップの後継だが、その役割は大幅に拡大している。

 ディスクコントローラー、オーディオ・ビデオの処理、そして数々のセキュリティ機能を担うようになった。このセキュリティ機能は、Macが選ばれる理由を作り出す意味で、将来的に大きな意味を持つことになるだろう。

 T2チップは起動処理、ディスクの暗号化、Touch IDのデータ格納、マイクの切断など、企業や個人のプライバシーやセキュリティを守るための処理を一手につかさどっており、主要処理を行うIntelチップと共存している。

 Intelチップは他のメーカーのパソコンにも備わっているが、T2チップはAppleのみ。その役割が拡大していくことは、Macの優位性に直結していくことにつながる。

 現状ではセキュリティに加えて、高圧縮のビデオ形式HEVCのエンコードの高速化で効果を発揮している。しかし将来的に拡張が進み、A12 Bionic世代のTシリーズチップが登場すれば、ニューラルエンジンがMacにも持ち込まれることになり、機械学習処理に長けたマシンへと変貌を遂げることは、容易に予想できる。

 筆者は2001年のiPod登場以来、Macを勉強や仕事の主たるマシンとして活用してきた。しかし前述の通り、その座をiPadへ移行させるかどうか、というタイミングにさしかかっている。

 もしiPad Pro 12.9インチモデルを手に入れた場合、2016年モデルのMacBook Proを自宅用のマシンとして維持して、長らく使い続けることになるだろう。その上で、iPadをメインマシンとして、どうしてもMacのフルブラウザやWindowsが必要な場面でMacBook Proを利用する、というスタイルへ移行する。

 その意味では、Mac miniは価格の安さとパワフルさで、iPad Proと利用する上で最適な組み合わせになる。ただし、Tシリーズの進化によってMacの性能に劇的な変化が加わるのであれば、MacBook ProからiMacなどへの新モデルへとアップデートするかもしれない。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]