ハーバード大学の研究チームは、金属などでできた垂直の面や天井に静電気の力で吸着し、自在に移動できる超小型ロボット「Harvard Ambulatory Micro-Robot with Electroadhesion(HAMR-E)」を開発した。大きさはコイン程度しかなく、飛行機用ジェットエンジンなどの内部に入り込ませられるため、検査や整備に利用できるという。
ジェットエンジンは、数万点もの部品が使われている複雑な機械で、内部は非常に狭く、人間が入って作業することなど不可能だ。メンテナンスや修理をするには分解する必要があり、手間も時間も、コストもかかってしまう。同様の問題は、建設機械や発電機、実験器具なども抱えている。
研究チームは、4本脚で歩く超小型ロボットの足に静電付着するパッドを取り付け、垂直な壁を登ったり天井に貼り付いたりできるようにした。静電付着とは、帯電した物体間に働くクーロン力の影響で、両者が吸着する現象。
HAMR-Eのパッドは、ポリイミド樹脂で絶縁された銅製の電極になっていて、電界のオンとオフを切り替えることで吸着力のオンとオフを制御できる。この仕組みにより、重さ1.48gのロボットを吸着させるのに十分な、5.56gのせん断力、6.20gの垂直力を達成させた。
HAMR-Eの紹介ビデオ(出典:ハーバード大学/Vimeo)
なお、HAMR-Eは、Rolls-Royceが構想するメンテナンス用ロボット「SWARM」をベースとしており、Rolls-Royceも開発に協力している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」