ハーバード大学の研究チームは、音波の力を利用し、ハチミツのような粘り気の強い液体でも滴(しずく)として射出させられる技術「acoustophoretic printing」を開発した。粘性が高くて扱いにくかった液体を滴として切り離せるため、この技術は製薬や食品製造、電子部品製造などの分野に応用できるという。
インクジェットプリンタで使われる滴を射出する手法は、薬の製造など多彩な分野で活用されている。ただし、粘性の高い液体は、滴の生成に時間がかかったり、小さな滴を作れなかったりする。この手法は、粘性が水の約10倍を超える液体に対して使えないそうだ。
そこで研究チームは、ノズル先端の液体に音波を照射し滴として切り離す技術を開発した。この音波の使い方は、何らかの物体を空中に浮かべておく音響浮揚と同じ原理だ。音響浮揚の場合は物体に働く重力が弱まるかのように力を加えるのだが、acoustophoretic printingでは逆に重力が強まったような力を加える。地球の重力の100倍を超え、太陽表面の重力に比べても4倍以上という強い力で引っ張ることで、粘性の高い液体でも滴にできるとしている。
acoustophoretic printingは、滴の大きさを調整することが可能。これにより、たとえば粘性が水の2万5000倍あるハチミツでも、極めて小さな滴として取り扱える。
acoustophoretic printingの紹介ビデオ(出典:ハーバード大学/YouTube)
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