クラウドファンディングサイトのGoFundMeで、米・メキシコ国境の壁の建設費用として10億ドル(約1110億円)の資金調達を目指すキャンペーンが始まった。この取り組みは同サイトで注目のページの1つとなっているが、これに対抗するキャンペーンも始まり、多くの支援を獲得している。
イラク戦争で両脚と片腕を失った米空軍の退役軍人であるBrian Kolfage氏は米国時間12月16日、「We the People Will Fund the Wall(われら人民が壁の費用を出す)」という名称の、壁の建設を推進するキャンペーンを開始した。開始から4日間で1000万ドル(約11億円)以上を集め、現在も調達総額が急速に増加している。
「両脚と片腕という大きな犠牲を払った退役軍人として、私はこの国に多大なものをささげたと感じており、それゆえに今日われわれが手にしているものすべてが確実に未来の世代に受け継がれるようにしたい」とKolfage氏はGoFundMeのページで述べた。米大統領選でDonald Trump氏に投票した6300万人が80ドル(約8800円)ずつ寄付すれば、この取り組みによって50億ドル(約5550億円)を集めることが可能だ、とも同氏は述べている。
Trump氏は、2016年の米大統領選の目玉として、国境に壁を建設し、その費用をメキシコに負担させるという公約を掲げたが、メキシコ政府は建設費用を負担しないと発表していた。
米政府がこの募金を受け取れるのかは不明だが、Kolfage氏は資金調達ページで「政府はこれまでに個人から多額の寄付金を受領したことがある」と述べ、ワシントン記念塔の修復に750万ドル(約8億3000万円)を寄付したある億万長者を例に挙げている。
この「We the People Will Fund the Wall」の取り組みは、すでに2018年にGo FundMeで最も大きな成功を収めたキャンペーンの1つとなっている。Go FundMeが6日に発表した、2018年の資金調達額トップ10には、職場で性的嫌がらせを受けたことにより法的支援を必要としている被害者たちのために2200万ドル(約24億5000万円)以上を集めた「Time's Up Legal Defense Fund」や、ワシントンD.C.で開催された銃への抗議活動を支援するために350万ドル(約3億9000万円)以上を集めた「March For Our Lives」がランクインを果たしている。「We the People Will Fund the Wall」はこのランキングの発表後に始まったが、現時点での募金総額は同ランキングの2位に次ぐものとなっている。
Kolfage氏とGoFundMeにコメントを求めたが、回答を得られなかった。
Kolfage氏のキャンペーンを受けて、退役軍人のCharlotte Clymer氏は12月19日、「Ladders to Get Over Trump's Wall(Trumpの壁を乗り越えるはしご)」というキャンペーンをGoFundMeで開始。目標金額の1億ドル(約111億円)に対し、開始から1日で6万2000ドル(約690万円)以上を集めた。このキャンペーンは、GoFundMeで短時間のうちに多くの支援を獲得したことを示す「trending」のラベルを獲得している。
Last night, @HoarseWisperer joked about a GoFundMe to buy ladders in response to this border wall nonsense. I laughed but then thought: "Wait, why not?"
— Charlotte Clymer (@cmclymer) 2018年12月20日
We've now raised $13,000 for, um, "ladders". (Actually going to @RAICESTEXAS). #GoFundTheWallhttps://t.co/CHMKJZqj25
Clymer氏は米CNETに対し、弱い立場にいるコミュニティーを標的にするのに軍隊が利用されたことを快く思っていなかったと述べた。「それは私が陸軍で培った価値観とは異なる」(同氏)
Clymer氏のキャンペーンによる調達資金は、移民や難民に無料または低額の法的サービスを提供する非営利団体Refugee and Immigrant Center for Education and Legal Services(RAICES)に寄付される。
「このGoFundMe(キャンペーン)は、実際にははしごとは全く関係がない」「人々を奮い立たせることが目的だ」とClymer氏はGoFundMeのページで述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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