Facebookが技術業界の大手企業などに対し、これまで公表してきた以上に利用者の個人データへのアクセスを許可していたという。The New York Times(NYT)が米国時間12月18日に報じた。
Microsoftの「Bing」検索エンジンには、利用者の同意なくFacebookの全利用者の友達の名前へのアクセスを許可し、NetflixとSpotifyには、Facebook利用者の非公開メッセージの閲覧を許可していたことが、Facebookの社内文書から明らかになったと、NYTは報じた。
こうしたデータ共有を廃止したと述べていたにもかかわらず、Amazonには利用者の名前や連絡先情報を友達経由で入手することを許可し、Yahooには2018年夏まで友達の投稿の閲覧を許可していたことも明らかになったという。
2018年3月には、トランプ陣営が2016年の米大統領選で利用したCambridge Analyticaが最大8700万人分のFacebook利用者データに不正にアクセスしていたことが明らかになり、最高経営責任者(CEO)の Mark Zuckerbergは欧州や米国の議会での釈明に追われた。
また米大統領選期間中にロシアがFacebookでトロール活動を展開して、偽情報を拡散し、対立を招こうとしていたとされる問題で、Facebookの対応に不備があったとも非難されている。
Facebookは7月、テクノロジ企業との情報共有を終了すると2015年5月に述べていたにもかかわらず、その後も多数のテクノロジ企業に特別なアクセスを提供してきたことを認めた。それによると、同社はその後も61社のハードウェアメーカーおよびソフトウェアメーカーとの情報共有を続けていたという。
NYTの18日の記事によると、Facebookが150を超える企業に対して、毎月膨大な量のデータへのアクセスを許可する特別措置を設けていたことを示す記録があったという。そのほとんどが技術業界の企業だが、自動車やメディア業界の企業もあった。
契約はすべて2017年時点では有効で、中には2018年も有効だったものもあると、NYTは報じている。
Facebookは、利用者のプライバシー設定を無視することをパートナーに許可していないとし、「パートナーがそれを無視していたとするのは誤りだ」と述べた。
「この数年間、われわれが独自にはサポートしない端末やプラットフォーム上でも利用者がFacebookを使えるように他社と提携してきた」と、Facebookのプライバシーおよびパブリックポリシー担当ディレクターを務めるSteve Satterfield氏は声明で述べた。「Facebookとは独立したエクスペリエンスを提供するゲーム、音楽配信サービス、その他のサードパーティーアプリとは異なり、これらのパートナーは、Facebookの特定の機能のみを提供することができ、それ以外の目的に情報を利用することはできない」(Satterfield氏)
米連邦取引委員会(FTC)と2011年に同社が合意した和解条件では、利用者のプライバシー情報を既存の範囲を超えて共有するには、利用者の明示的な同意が必要になっている。NYTの報道からは、Facebookがこの条件に違反しているかどうかの疑念が生じた格好だ。
和解に基づき、Facebookは、サードパーティーに利用者データを共有する前に利用者の同意を得ることに合意していた。また、「包括的なプライバシープログラム」を確立し、今後20年間、第三者機関による監査を2年に1度のペースで実施して、そのプログラムの有効性を認定してもらうことも、和解条件として求められていた。
NYTの記事で名前が挙がった企業各社は、Facebookとのパートナーシップを利用してユーザーのプライバシーを侵害したことを否定している。
Amazonは、Facebookとのパートナーシップは自社のプライバシー規約に反していないと述べ、Microsoftは対策を講じ、広告やパーソナライズを目的としたプロファイルの作成にFacebookのデータが一切使われないようにしていると応じた。Netflixは、顧客のユーザビリティ向上のためにFacebookを利用したことがあるものの、ユーザーがソーシャルメディアのサイトに投稿した個人的なメッセージは一切読んでいないとしている。
Spotifyにもコメントを求めたが、すぐには回答を得られなかった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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