続いて、ソフトバンク代表取締役 副社長執行役員 兼 CTOの宮川潤一氏が、12月6日に発生した大規模障害の原因と対策を説明した。同日の13時39分~18時4分の約4時間半にかけてソフトバンクやワイモバイルのLTE(4G)サービスが利用しづらくなる通信障害が発生し、約3060万回線に影響が出た。
同社の調査の結果、ソフトバンクが導入していたエリクソン製の交換機のソフトウェア証明書の期限切れが原因だったことが明らかになった。また、全国規模でLTE障害が起きたため、一斉にトラフィックが集中した3G回線も輻輳状態に陥ったという。
ソフトバンクでは、LTE交換機のコア設備を東日本と西日本にそれぞれ1カ所ずつ設けており、2カ所で合計18台の交換機を設置しているという。たとえば、そのうちの4台で障害が起きても残りの14台で対処できることから、この設備での障害は想定外だったと宮川氏は説明する。
しかし、エリクソンの証明書の期限切れという同社も想定していなかったトラブルにより、18台の交換機が同時にダウンし、一斉に監視センターに大量のアラームが鳴ったことから、障害ポイントに辿りつくまでに時間がかかってしまったという。その後、交換機のソフトウェアのバージョンをダウンさせることで対処した。
今回の通信障害を受けて、同社では対策を発表した。暫定対策として(1)商用設備における証明書の「有効期限」の総点検を12月末までに実施、(2)ラボ試験における未来日の動作確認、(3)旧ソフトウェアの緊急立ち上げの短時間化、の3点を進めているという。
また、恒久対策として、(1)証明書の確認・更新を可能にするソフトウェアの切り替え、(2)再起動するものと運転を継続するものを切り分けるシステムアーキテクチャの見直し、(3)交換機のマルチベンダー化、の3点を挙げた。
特に「交換機のマルチベンダー化」については、今回の通信障害が「エリクソンに頼りすぎていた」(宮川氏)ことから発生したため、今後は他社製の交換機も10台以上追加する予定だという。現在、欧米と米国のベンダーの2社からパートナーを選定していることを明かした。
なお、同社はファーウェイの基地局設備を利用しているが、世界中で広がっているファーウェイ製品排除の動きについては、「コアの部分については、欧州のベンダーに変えざるを得ないと思っているが、政府のガイドラインが出るまでは答えは出せない」(宮内氏)との考えを示した。
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