ソフトバンクグループの通信子会社であるソフトバンクが、12月19日に東証一部に上場した。同日には記者会見が開かれ、国内通信事業の実績や、12月6日に発生した大規模通信障害の対策、今後の展望などが語られた。
同社代表取締役社長執行役員 兼 CEOの宮内謙氏は冒頭、「これまで沢山の方々に支えられて、ソフトバンクは東証一部に上場する運びとなった。お客様、株主の皆さま、関係者のみなさまに熱く御礼を申しあげる」と喜びを語るとともに、「通信障害については多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫びする」と謝罪し、再発防止に向けて全力で取り組む姿勢を見せた。
宮内氏は、上場によってグループの中核会社でありつつも、自律的・機動的な経営を加速させることができるようになると説明。また、通信事業と新規事業の両輪でさらなる成長を目指す「Beyond Carrier」戦略を掲げているが、上場後もこの戦略に沿って企業価値を上げていく考えだと話す。
通信事業については、ソフトバンク、Y!mobile(ワイモバイル)、LINEモバイルによる「マルチブランド」、大容量プランやクーポン、セット割引などの「魅力的なサービス」、ヤフー連携による「差別化」、全国23万カ所の高密度な基地局網を生かした「5G」などが強みになると説明。
また、同社がこれまで公開してこなかった実績として、2018年第2四半期のスマートフォン累計契約数は約2100万、ブロードバンド契約数は約700万、ヤフーのID連携は約1300万に達しているほか、法人の大企業の94%と取引きしていることを明かした。
新規事業については、ソフトバンクのプラットフォームを活用して、ソフトバンクグループの投資先における最先端のビジネスモデルを日本で展開している。たとえば、シェアオフィス「WeWork」は、日本展開から約10カ月間で8拠点、約1万2800席まで増え、グローバルでも最速での拡大を続けているという。
また、ヤフーと展開するスマホ決済「PayPay」は、12月4日から「100億あげちゃう」キャンペーンを実施。支払額の20%がPayPayの残高として還元されることが話題となり、2019年3月までの予定が、わずか10日間で終了した。宮内氏はこのキャンペーンによって、競合他社と比べた認知度、理解度、利用意向でトップになったとアピールした。
業績見通しも初めて開示した。売上高は3兆7000億円(前年度3兆5826億円)、営業利益は7000億円(同6379億円)、純利益は4200億円(同4007億円)で、純利益の進捗率は70%と順調に推移していると説明する。また、配当性向は85%になるという。
同社では公開価格として1500円を設定していたが、「値付けについては引受証券会社6社と協議して、85%の配当性向と5%の配当利回りをきちっと示すことが重要なのではないかとアドバイスを受けてこの価格になった」と説明。しかし、初値は公開価格を2%下回る1463円となり、「残念ながら株価は少し下がった。ここをスタート地点に企業価値をあげていきたい」と語った。
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