看護師を支援するロボット「Moxi」が、テキサス州の病院で初めての実地試験を終えた。同州オースティンに本社を置くDiligent Roboticsによって企画されたこのテストの狙いは、稼働中の病院で協働ロボットによる自動化の導入をテストすることにあった。ロボットは、看護師など医療従事者の負担を軽減するために役立つ可能性のあるツールとして、広く認識されている。
米労働省労働統計局によると、米国における看護師の需要は2014年の時点で270万件だったが、2024年には16%増えて320万件に達する見通しだという。主な要因は、ベビーブーマー世代の高齢化により、さらなる介護を必要とする人が増加することだ。
退職する看護師を考慮に入れると、看護師の求人は2024年までに109万件になると同局はみている。労働市場の人材不足が拡大すれば、その需要を満たすのは難しくなるかもしれない。American Journal of Medical Qualityによると、米国は2009年~2030年の間に起こると予測されている登録看護師の不足に直面する見通しで、南部と西部において最も人材が不足するという。
自動化を支持する人々は、協働ロボットや自律移動ロボットに解決策を見いだしている。人口の高齢化を受けて、米国より10年早くこうした問題の多くに取り組むことを余儀なくされている日本は、「パロ」や「Pepper」、タイ発の「Dinsow」などのロボットを医療エコシステムに組み入れつつある。ただし、現時点では、これらのロボットは比較的限られた作業しかできない。
Moxiは人間に心地悪さを感じさせることなく看護師を支援できる、社会的に知的なロボットとして傑出している。先頃終了したテキサス州の病院でのテストで、患者をケアする時間を看護師から奪う単純な仕事の一部を、Moxiが引き継いだ。
テストが実施されたTexas Health Dallasの登録看護師であるPhebe Iyepeさんは、次のように語っている。「私たちの勤務時間の約3割は、何かものを『取ってくる』ことに使われる。だが、今回のテスト期間中は、音声ボタンを押してMoxiを呼び出せば、対応してくれた」
テスト期間中、Moxiは入院キットを各患者室の外に設置された所定の箱まで運び、検査用の検体を検査室に届けた。さらに、汚れたシーツなどが入った重たい袋を患者の部屋から洗濯エリアまで運んだ。
Diligent Roboticsは着実に進歩している。今後6回のベータテストを予定しており、2019年下半期よりMoxiをフルタイムで病院に展開することを目指す。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス