GAFA出身の日本人が集結するデータ企業「FLYWHEEL」の正体 - (page 2)

 一方、FWレコメンドエンジンでは、ECサイトでの購入履歴や閲覧履歴などを元に、そのユーザー個人に最適なおすすめ商品の候補を表示する機能を提供する。従来の一般的なレコメンドエンジンのように、単純に人気の高い商品や閲覧中の商品の類似品を表示するのではなく、個人の趣味嗜好や実績に合わせた表示が可能になっているのがポイントだ。

 さらに、完全にシステムのアルゴリズムに頼った表示をする以外にも、「同一ブランドをできるだけ省いたらどうなるか」といった人間のアイデアを反映させることもできる。実際にこのFWレコメンドエンジンを導入したECサイト「LOHACO」では、おすすめ商品表示からカートへ追加された件数が従来の2倍超にアップしたという。

FWレコメンドエンジンを導入した「LOHACO」では、おすすめ商品表示からカートへ追加された件数が2倍になった
FWレコメンドエンジンを導入した「LOHACO」では、おすすめ商品表示からカートへ追加された件数が2倍になった
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 FWレコメンドエンジンは、ECサイトのみならず、広告やニュースサイトにも応用できる。当然ながら、高い効果を狙うにはベースとなるデータの量が鍵となるのは間違いない。しかし、横山氏は「データ量が仮に少なくても、基本設計をしっかりやることで効果が出ることは実証されている」と語る。

 少量のデータで効果を出す技術に加え、どうすれば生産性を高められる仕組みにできるか、次のステップを目指して拡張するときにどうやれば根本から直さずに実現できるか、といった点を考慮したデータプラットフォームを構築するノウハウを持っている。そのうえで「エンド・ツー・エンドのビジネスがわかっている人間と開発がわかっている人間、最終的にそこを拡大できる人間がいる」のがフライウィールの強みだという。

「FW広告プラットフォーム」は近日ローンチ予定
「FW広告プラットフォーム」は近いうちにローンチ予定

ノウハウを顧客に共有して「自分でできるようにする」

 単にソリューションを開発して、納品するだけで終わらないのもフライウィールの特徴だ。横山氏は、データプラットフォームの構築やデータの活用について「本来、企業が自分でできるようになるべき」というポリシーを持っている。

 「(データを扱う際の)考え方や仕組み作りを企業と一緒にやって、理解を深めてもらってノウハウを共有する。一般的なITベンダーさんとはそこの考え方が違うと思う」と同氏。通常は、継続的に企業のシステム開発を請け負うことを狙い、ITベンダーはノウハウをその企業に渡さないようにするのがビジネスの“鉄則”だ。ところがフライウィールはあえてその反対の考えで、企業と“協働”する道を選んだ。

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 「基本的なところで僕らにできることはまだまだある。足元のそれをしっかりやれば、半歩、一歩先につながるような、単発で終わらない価値の連鎖が発生するはず」と言う。さらに「逆に僕らが企業から学ぶことも多い。今後データ量が増えたときに、企業のなかでそれを取り回せるようになっていかないといけないので、そこをお手伝いできたら」と話す。その言葉からは、なんとしても企業の生産性を向上させたい、という思いの強さが伺えた。

 昨今は人口減少、労働者不足、景気の後退や増税など、先行きの見えない出来事ばかりが目立つが、横山氏は「未来は明るい」と言い切る。

 「日本は良いところがたくさんある。ごはんは美味しいし、サービスの品質も高い。欧州や米国に7〜8年住んでいて、なおさら日本の良さを感じることもある。日本企業には、ビジネス面と技術面の両方に課題があることは確か。僕らがそれを全部解決できるとは思っていないが、うまくいった例は知っている。そこを、フライウィール(歯車)のようにきちんとかみ合わせられれば、データと人工知能の普及を加速させて、もっといい日本にしていくことができるはずだ」(横山氏)。

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