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三井不動産ら、宇宙ベンチャーのアクセルスペースに出資--総額300億円の「グロースI事業」始動

加納恵 (編集部)2018年12月07日 10時00分
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 三井不動産とグローバル・ブレイン(GB)が総額300億円を投じるベンチャー投資事業「グロースI事業」が動き出した。12月7日、両社は、宇宙ビジネスを展開するアクセルスペースに出資を実施したと発表。グロースI事業として第1号案件になる。

三井不動産ベンチャー共創事業部事業グループ統括の加藤慎司氏とアクセルスペース代表取締役CEOの中村友哉氏
三井不動産ベンチャー共創事業部事業グループ統括の加藤慎司氏とアクセルスペース代表取締役CEOの中村友哉氏

 グロースI事業は、ベンチャー企業を対象とした投資事業。5月に発表しており、収益モデルが確立しているグロース期のベンチャー企業を出資対象にしていることが特長だ。運用期間は10年間で、不動産テックのほか、IoT、サイバーセキュリティ、シェアリングエコノミー、さらにAI、ビッグデータ、ヘルスケアなど、三井不動産のリソースを活用できる領域を重点に置いている。

 三井不動産では、2015年末にコーポレートベンチャーキャピタルファンド「31VENTURES Global Innovation Fund1号」をGBとともに設立。アーリー期のベンチャーを対象に投資を続けている。「グロースI事業では、31VENTURES Global Innovation Fund1号よりも本業に近いところ、シナジー効果が生まれやすい企業を対象にしている」と、三井不動産共創事業部事業グループ統括の加藤慎司氏はその違いを説明する。

 第1号案件となった、アクセルスペースは2008年に設立。三井不動産がコーポレート会員に名を連ねる、一般社団法人TXアントレ―プレナーパートナーズ(TEP)のサポートを受けていたこともあり、支援関係はすでに9年に及ぶ。現在オフィスも、三井不動産が管理する「Clipニホンバシビル」内に構えている。

 「小型といっても衛星を作っているため、天井も通常のオフィスに比べ高さが必要だし、入り口も広くなくてはいけない。エレベーターも衛星が運べるサイズのものがほしいと、オフィス探しはとにかく大変。そんな時に三井不動産の方に相談させていただいた縁で、現在のオフィスに入居できた」と、アクセルスペース代表取締役CEOの中村友哉氏は今までの経緯を話す。

 「お付き合いが長く、以前から存じ上げていたため、今回もタイミングよく1号案件として出資を決定させていただいた。三井不動産のベンチャー投資事業は、長いスパンでお付き合いさせていただくことが条件の1つ。5年、10年単位で手がける不動産事業と同じく、取り組んでいる。そういう意味でも、以前からお付き合いのあるアクセルスペースに出資できたことは私たちもうれしい」(加藤氏)と、三井不動産のスタンスは一貫している。

 アクセルスペースでは、今回調達した資金を小型衛星の製造と研究開発などに充てる考え。「衛星写真の販売やデータ解析などから、新しい製品やサービスの開発に期待している。例えば、広大な森林地域の管理は、人手では難しいし、ドローンでも限界がある。そんな時に衛星写真を使えば、広い範囲の土地を一度に確認できる」と加藤氏はシナジー効果を期待する。

 中村氏も「アクセルスペースが実現しようとしているのは地球を高頻度で見ること。衛星画像は日々の変化を捉えられる特長がある。地上から広大な土地の変化を確認することは困難だが、衛星は得意分野。衛星画像で大まかな場所を捉えて、ピンポイントで人手なり、ドローンなりで、詳細を確認することで、効率的に土地の変化を確認できる」と活用例を話す。さらに「点在するビルの状況を確認する、リゾート地の管理やモニタリングなどにも最適」(中村氏)と不動産事業との親和性はかなり高い。

 中村氏は、大学在学中に超小型衛星の開発をスタート。ものづくりを伴う事業の立ち上げには、多額な資金も必要で「設立当初は、十何億も集めるようなベンチャー企業はほかになかった。宇宙事業に対してもリスクが高いと思われており、最初は投資してくれる企業が見つからなかった」と設立当時を振り返る。

 今後については「熱センサーを搭載してほしいなど、より多くの情報を得られるように小型衛星をアップグレードしていきたい。衛星から得られるデータは土地管理以外にも、さらに多くのことに活用できるかもしれない」と、未来を描く。

 加藤氏は「何事も最初は夢。グロースI事業は革新的技術やサービスを持っている企業に投資し、世界を変えるくらいのインパクトを生み出したい。そうした新たな産業の創造に息の長い支援をしていきたい」と今後について話した。

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