東芝クライアントソリューション(TCS)は12月3日、2019年1月1日付けで「Dynabook株式会社」に変更すると発表した。今後は、海外での売上げ比率を伸ばし、3年後にIPOを目指すとしている。
シャープは6月、東芝の100%子会社であるTCSの株式のうち80.1%を約40億円で取得すると発表。TCSを子会社化し、10月より鴻海グループとして新体制で発足したばかりだ。株主構成は、シャープが80.1%、東芝が19.9%。資本金は、171.6億円。
新たな社名に東芝の名はない。TCSは、1985年に世界初のラップトップPC「T1100」を市場へ投入し、1989年に、世界初のノートPC「DynaBook J-3100 SS001」を発売した。そうした歴史的背景もあり、日本ではDynabookといえばノートPCのブランドとしてよく知られている。
シャープ 取締役副社長執行役員 兼 東芝クライアントソリューション 代表取締役会長の石田佳久氏は、社名について「会社を新しくリニューアルする中で、ブランド価値をきちんと固めていきたい。そのためにいろいろ議論はしたが、もともと東芝のノートブックPCの歴史を辿って、アラン・ケイの“Dynabook”という言葉を前面に出していきたいと考えた」と説明した。
PCとしてのDynabookの原点は、パーソナルコンピューターの父として知られるアラン・ケイ氏が「人に寄り添い、人を支える真のパーソナルなコンピューター」という“Dynabook構想”にある。
石田氏は、「世の中の環境や技術はどんどん進化し、そうした流れにあわせてDynabookも進化させていく。シャープは、『人に寄り添うIoT企業』を掲げているが、Dynabookは『コンピューティングとサービスを通じて世界を変える dynabook as a Computing×dynabook as a Service』。アラン・ケイも同じように、言葉の進化を望んでいるのではないかと思っている」とし、今までの歩みと、今後切り開く未来をDynabook株式会社の名に込めたと語った。
一方で、日本では、東芝のPCとして抜群の知名度を誇るが、海外では実はそれほど浸透していない。その点について石田氏は、「従来、海外ではDynabookというブランドを使ってこなかったので、浸透度は日本と比べると低い認識はある。しかし、グローバル展開をする上で、ひとつのブランド名で攻めていくことで、ブランドの価値そのものを高めていきたい。投資も必要だろうし、マーケティングの施策、お客様との関係も構築する必要があるが、それをやりきるという覚悟」(石田氏)と意気込みを見せた。
なお、現在のPCとしてのラインアップにおける“dynabook”シリーズの名称やロゴには小文字を用いているが、今回発表した社名は大文字だ。
この点について東芝クライアントソリューション 代表取締役社長兼CEOの覚道清文氏は、「ユビキタスマーク(dynabookロゴ)は浸透しているので小文字で通す。社名は、横文字で登記もすることもあり、小文字で始まるのは違和感がある。表記ミスも出る。海外で展開するときに小文字に始まっていいのかという議論があり、ここは大文字でという結論になった」と説明した。
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