楽天と神戸市は12月1日、地域の活性化や市民サービスの向上を目的とした包括連携協定を締結すると発表。ヴィッセル神戸の本拠地であるノエビアスタジアム神戸で締結式が開催され、神戸市長の久元喜造氏と楽天代表取締役会長 兼 社長の三木谷浩史氏が出席した。
「『若者とつくるみらいのKOBE』実現に向けた神戸活性化プロジェクト」と題された協定書の主な内容は、(1)神戸の魅力の向上と情報の発信に関すること、(2)インバウンドの推進に関すること、(3)ふるさと納税の推進に関すること、(4)大学などと連携した人材育成支援に関すること、(5)スポーツを通じた地域貢献に関すること、(6)神戸のまちの活性化等に関すること、の6項目。楽天は神戸市を含む30の自治体と協定を締結しているが、人材育成からビジネス機会の創造まで、これほど幅広い分野での連携は初めてとなる。
神戸市出身の三木谷氏は、個人的には2015年からヴィッセル神戸の運営に参画し、楽天グループでは6月に電子図書館サービス「Rakuten OverDrive」の運用で神戸市と協定を結んでいる。今回はさらに楽天のテクノロジーを活用したITの利活用で、経済の活性化や市民生活の向上、グローバル社会への発展に向けた貢献を進めるとしている。
具体的には、ECビジネスの活性化に向けた事業者とクリエイターのマッチングやセミナーを実施し、人材育成では神戸市内の大学とも連携する。特にキャッシュレス化には力を入れ、インバウンド誘致を促進するだけでなく、そこで得られた成果を元に国内のキャッシュレス化推進のリーダーシップを目指す。他にも市役所の窓口業務にAIスピーカーを利用し、自治体業務に活用できるかを検証する実験も年内に開始する予定。
久元神戸市長は「大阪や京都に遅れをとるインバウンド対策としてキャッシュレス化は重要課題であり、神戸の魅力をグローバルに発信し、ビジネスにつなげるところでも楽天にノウハウを提供してもらいたい」と協定に対する期待を述べた。
三木谷氏も、「世界トッププレイヤーのイニエスタやポドルスキー選手らも絶賛するほど神戸市は魅力的な街だが、残念ながら十分にアピールできていない。楽天グループの技術とネットワークを使い、神戸市民と共に先駆的未来型都市のモデルケースを作り、プロモーションにつなげたい」とコメント。協定に書かれている以外の幅広い分野でも連携を進めていきたいとしている。
今後の活動については、楽天の神戸支店やノエビアスタジアム神戸を拠点にしつつ、既存施設や人材を活用しながら市役所の職員たちと協力し、EC関連の人材育成では神戸市の助成制度を活用することも想定している。また、楽天技術研究所の研究を検証する場としての連携も進めるとしており、例として、ドローン輸送や自動運転による新しいモビリティの提案、さらに開発を進めている自動運転による貨物船の開発などを挙げた。
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