楽天は7月11日、米国でAPIマーケットプレイス「RapidAPI」を提供する米R Softwareと共同で、APIマーケットプレイス「Rakuten RapidAPI」を提供する独占的な戦略パートナーシップを締結したと発表した。また、同日より国内向けにRakuten RapidAPIの提供を開始。2019年にはアジアに展開するという。
RapidAPIは、無料・有料問わず8000以上のAPIをラインアップする世界最大規模のマーケットプレイス。APIの検索からテスト、SDKの提供、支払いまでを一気通貫で提供することで、API提供者と開発者をむすぶ。すでに世界50万人の開発者に利用されており、Microsoftをはじめ多くの企業がAPIを提供している。航空券比較サイトのSkyscannerの例では、当初ゼロだったAPIコール数がRapidAPIへの掲載2カ月で、150万回まで増えたという。
Rakuten RapidAPIでは、API提供者側に管理ダッシュボードを提供。APIの利用状況やマニュアルなどのドキュメント管理、パフォーマンス、料金体系(サブスクリプションの設定も可能)、請求までを一括で管理できる。ユーザー側の支払い方法は、クレジットカードのほか請求書支払いにも対応する。取り扱うAPI数は、RapidAPIの8000APIをベースに、各企業や楽天社内で利用している450のAPIなど順次提供するほか、米国などで利用が進む行政のデータ活用の一環として、行政側のAPI整備なども可能性としてあるという。
料金体系について、ユーザーのトランザクションを元にAPIの利用額を算出する。また、API提供者には、販売額の20%程度(条件によって変動する可能性あり)をRakuten RapidAPIの手数料として徴収するものの、無料APIについては手数料は発生しないとしている。なお、Rakute RapidAPIの運用、マーケティング、エヴァンジェリスト活動は楽天コミュニケーションが手がける。
楽天副社長執行役員CIO&CISOの平井康文氏は、「2018年6月だけでAPIの利用回数は166億ヒットしており、2017年比で47%増加している。API連携で新しい価値を生み出し、規模・業種を超えて連携することで新しいバリューチェーンが生まれている」と、APIエコノミーの現状を説明。しかし、「作ったAPIを多くの人に紹介したい、ユーザーの利用状況を可視化したい、請求や課金が手間というAPI提供側の課題がある一方で、アプリ開発者は、業務・業種に特化したAPIを探したい、さまざまなAPIを組み合わせることで新しいアプリを開発したいという課題があった。API提供者とAPI利用者の間に新たなビジネスオポチュニティがあるのではないかと思った」と、サービス提供の背景を語った。
楽天では、国内外の開発拠点で作られたAPIが450ほど存在し、それを統括するAPIゲートウェイを社内で構築している。これを、楽天市場でAPIを販売するのと同じように、マーケットプレイスとしてAPIを外販できないかと気づいたという。平井氏は「楽天市場21年の経験からしても、APIゲートウェイからAPIマーケットプレイスへの進化は自然な流れ。ご縁があり、R Software CEOのイド・ジノ氏と知り合うことができた」としており、楽天のマーケットプレイスの運用ノウハウと、世界最大級のAPIマーケットプレイスを運営するR Softwareのナレッジを融合し、日本を含めたアジア地域で2022年までに70万人の新規開発者を獲得。APIエコノミーを活性化したいと目標を語った。
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